最近Facebookが社名を「meta」に変更したことは、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。最近の私が一番、興味津々の内容でした、共有したいと思います。
NFTの教科書とは?
「meta」はメタバースという言葉に由来していると言われており、メタバースという言葉もここ数年で一気に知られるようになったワードの一つでしょう。
ではNFTという単語はどうでしょうか?
NFTも2021年に注目を浴びたワードですが、内容を理解できている方は意外と少ないように思います。
今回は、NFTについて知りたいという方のために「NFTの教科書」という1冊をもとに解説をしていきたいと思います。
「NFTの教科書」はNFTビジネスの最前線で活躍している専門家たちによって書かれています。
NFT×各産業という形で章立てがされているので、自分の興味のある産業だけをピックアップして読むことも可能ですし、読んでみると各産業の新たな未来を描くこともできます。
今までには考えられなかったようなビジネスが、NFTによって実現するかもしれないことが、本著を読んでいくとイメージできるでしょう。
NFTは、技術的な課題や法律などの課題がクリアされれば、一気に世界に浸透する可能性を秘めていると言えます。
NFTとは何か
NFTとは、Non Fungible Tokenの頭文字を取ったものです。
Fungible=個々の物やアイテムが交換可能という意味になるため、Non Fungibleというのは代替不可能という意味になります。
つまり、NFTは代替不可能で唯一無二の固有の価値を持ったデジタル資産のことを指します。
NFT市場は、2つのオークションが世界で注目されたことをきっかけに、2021年に急拡大を見せます。
1つはBeepleと呼ばれているアーティストのデジタルアート作品が約75億円で落札されたこと、そしてもう1つはTwitterの共同創業者のNFT化された初ツイートが3億1600万円で落札されたことです。
さらに、カナダの会社がトレーディングカードゲームをリリースしたことからビジネス用途としてもNFTが活用されるようになりました。
日本でも、NFTを活用するためのプラットフォーム事業やコンテンツ市場に乗り出す企業が出てきました。
現在NFTはイーサリアムの「ERC721」という規格が主流となっており、取引もこちらのプラットフォームで行われることが多くなっています。
では、早速NFTがビジネスとしてどのように活かすことができるのか、6つの産業をピックアップしながら、それぞれの活用例や可能性について見ていきましょう。
①アート:
NFTが活用しやすいビジネスとして筆頭に挙げられるのがアートです。
これまではデジタルアートはコピーされてしまうこともあり、価値が付けづらかったのですが、NFTの誕生により唯一無二の価値を証明することができるようになりました。
そのため、価値が担保されることにより、美術館のような現実のアート作品と同様にデジタルアートをコレクションすることが可能になったのです。
きっかけは、Crypt Punks(クリプトパンクス)というプロジェクトだったと言われています。
シンプルなピクセルアートですが、様々なキャラクターが存在し、人気なキャラクターほど価値が高くなっています。
個人だけではなく、法人も売買に参加することができ、Visaも1体購入したことが話題になりました。
ただ、デジタルであるがゆえの問題も抱えています。
NFTによってその作品がオリジナルであるという証明をすることはできるのですが、形自体はコピーできてしまうのです。
②スポーツ:
スポーツは実際に対人で行うため、スポーツそのものはNFTと関係がなさそうに見えます。
しかしながら、選手のユニフォームやサインカードなど、コレクションできるものにNFTを活用すれば唯一無二の価値をつけることができるため、ビジネスとしての可能性を秘めていると考えられています。
また、デジタル化されたチケットの流通に関しても、NFTの概念は適用できます。
NFTにより価値が担保されたチケットであれば追跡も可能になるでしょうし、違法な転売の防止などにもつなげることができるでしょう。
③メタバース:
メタバースとは、インターネット上にある仮想の三次元空間のことを指します。
そこでは、アバターなどが自分自身の代わりとなって活動をしている上、実社会と同様に生活ができ、かつ現実世界とも隔絶されていないような空間とされています。
つまり、メタバース上で購入したものは現実世界でも所有しているような状態ということです。
そのため、NFTはメタバースを利用する際には必須の考え方とも言えるでしょう。
デジタル上で保有したものが、自分のものであるという保証がつくからです。
今後は、NFTがさらに進展することにより、別のメタバース上で購入したものをまた異なるメタバース上で利用できるようになる可能性も想定されています。
現時点では各メタバースで取引などのルールや技術仕様が異なり、マーケット間での売買は容易ではありません。
各プラットフォーム間での互換性が図られるまでには時間も技術も要するでしょうが、その課題をクリアすればメタバース上でもNFTは十分活用されていくと考えられます。
④ゲーム:
CryptoKitties (クリプトキティーズ)というゲームが2017年に誕生してから、デジタル上のキャラクターやアイテムがNFTで担保されるようになり、ユーザー間で自由に売買できるようなNFTとコラボしたゲームが出てきています。
日本でも2018年にMy Crypto Heroesというゲームがリリースされており、ゲームに登場するキャラクターやアイテムをユーザー同士で売買することができるようになっています。
ユーザー同士で売買ができるのも、NFTによって価値が証明され、所有権をユーザーに帰属させることができているからなのです。
以前日本といえば自動車をはじめとする製造業が代表的産業でしたが、今やアニメやゲームなどのサブカルチャーの先進国とも言えるので、今後はNFTを活用したゲーム分野での進展は期待できるのではないでしょうか。
⑤音楽:
日本ではまだレンタルCDもありますが、オンラインで音楽が購入することが主流になってくるにつれ、CDは今後消滅する可能性も大いにあります。
そうなると、全ての音楽がオンライン上での売買となりますが、その際にオリジナルであることを証明するためにもNFTの概念は必須になってきます。
また、既に市場に出回っている音楽だけではなく、アーティストのみが保有するような、未発表の音源や、スタジオ収録の様子などもNFTで価値を付与することにより、アクセス権を売買することも可能になります。
今やYouTubeなどを使えば誰もが無料で聞きたい音楽を聞けるような時代です。
ただ、CDやオンライン上で音楽が売れなくなってしまうと、アーティスト側からすれば利益が出なくなってしまいます。
NFTを活用することで、アーティストが持つ様々な権利を商品化することができるようになれば、新たな収入源を生み出すこともできると考えられています。
⑥ファッション:
ファッションは実際に私たちが身につけるものなので、デジタル上のNFTを活用することは少々難しいとされています。
しかし、メタバース上のアバターの服や持ち物などを売買する際にNFTが活かされる場面は出てくるでしょう。
また、GUCCIはブランドストーリーの動画をNFTアートとしてオークションに出品しています。
このように、今後もファッションブランド側からデジタルコンテンツに関してNFTを活用し、売買をするような事例は出てくるでしょう。
ファッションはそのブランドやアイテムに共感する人がお金を投資するものなので、共感してもらう、という心理を活かしてブランド側から発信できれば、そこに市場が生まれる可能性も秘めているでしょう。
以上、NFTと各産業の相乗効果によるビジネスの可能性を紹介してきました。
しかしながら、現実ではまだNFTを活用して大きなビジネスが生まれている状況には至っていません。
NFTのこれからの 課題について
最後にNFTの普及を阻止している課題として代表的な4点を解説していきたいと思います。
①NFT画像の管理
NFTで証明されたものは全てデジタルデータになり、現実世界で保有することはできません。
そのため、データをどこかに保存していなければならないのですが、クラウド上に保存をすればそのクラウドが使えなくなってしまった際にデータにアクセスできなくなるという障害も考えられます。
また、仮想通貨の取引にも使われるような、ブロックチェーン上に保管するというやり方もあります。
しかし、現時点ではブロックチェーン上に保存をするとデータ量が大きいために取引の際の手数料が高くついてしまうというデメリットがあります。
②スケーリングの問題
①でも手数料の話に触れましたが、例えばブロックチェーン上で取引をする際は、データの正当性を証明する人たちに報酬を支払う必要があります。
取引が増えれば増えるほど、その報酬がかさんでしまい、ユーザーにとって負担になってしまうという問題があります。
③NFTマーケットの互換性の問題
現在各NFTで使用している規格が異なるため、マーケット間での互換性がありません。
もちろん規格が異なるマーケット間では取引をすることができず、限られたマーケット内での取引となってしまっており、マーケットの拡大を阻害しています。
さらに、手数料もNFTマーケット毎に定められているため、さらなるNFTの普及のためには手数料も統一することが必要になってくるでしょう。
④環境への配慮
最後の問題が環境問題です。
②で触れたような、データの正当性を証明するような作業に対して、現時点では多大な電力を消費しています。
現在、ブロックチェーンを用いた仮想通貨の取引でも相当の電力を消費していると言われているため、そこにNFTの取引も加わると、電力の消費量はものすごい量になることが考えられます。
もちろん今後の技術発展により、電力消費も抑えられるようになることは十分想定されますが、現時点では莫大な電力を消費してしまうため、NFTが一般に普及するまでには至っていません。
最後に
以上、「NFTの教科書」という1冊をご紹介してきました。
これまでNFTという単語は聞いたことがあるけど、どういうものなのかよく分からないと思っていた方や、NFTを初めて聞いたという方にとっても、少しイメージが湧いたのではないでしょうか。
今まで難しかったデジタル上のものに価値をつけるということが、NFTにより可能になっているのです。
新規事業を担っている方や新たな収益源を考えている人にとっては、デジタル上のものに唯一無二の価値をつけることで、今後新たなビジネスにつなげていくこともできるでしょう。