【SFの世界が現実のものになる?!】2030年:すべてが加速する世界に備えよ




SFの世界が現実のものになる、と聞いてあなたはどのように感じますか?「ありえない」と思う人も多いのではないでしょうか。

あなたは今後の10年、20年を見通せますか?

20年、30年前の私たちがスマートフォンの登場を予期できなかったように、これからは想像できないことも現実となる可能性が大いにあります。

実は、SFの世界でしか存在しないと思われていた空を飛ぶ車も、現実の世界に出てくるのは時間の問題だとされているのです。

では、あなたは今後の10年、20年を見通せますか?

そのヒントを得るために、今回は「2030年:すべてが加速する世界に備えよ」という1冊をご紹介したいと思います。

本著は民間の宇宙開発を支援する「Xプライズ財団」のCEOを務めていたり、テクノロジーや宇宙の分野で22のスタートアップを設立したりしているピーター・ディアマンテスによって書かれた1冊です。

彼はフォーチュン誌で世界の偉大なリーダー50人にも選出された経歴を持っています。

アメリカでテクノロジーの最先端に関して研究している1人で「シリコンバレーのボス」とも呼ばれている著者なので、本著の内容もSFのような世界について触れられていても、根拠に基づいているため説得力のあるものになっているのです。

本著の構成は、はじめに現在世界でどのような変化が起きているのかについて説明されています。

その後に、産業カテゴリーごとに未来予測を紹介しています。

では早速本著の解説をしていきましょう。

テクノロジー同士の融合

ピーター氏は、世界ではテクノロジー同士の融合により、劇的な変化が起きていることを認めた上で、未来を予測するためにもテクノロジーの発展が現在どのような状態にあるのか理解しておく必要があると考えています。

ここで、融合しているとされるのはエクスポネンシャル・テクノロジーと呼ばれるものです。

シリコンバレーでは、このエクスポネンシャル・テクノロジーは急激に成長していく技術のことを指しています。

ひとたび加速が始まればそのスピードはさらに加速を早めていくのです。

つまり、過去の10年や20年よりも、これからの10年、20年の間に引き起こされる変化の方が、変化の度合いとしては大きくなると著者は述べています。

では、なぜ加速が早まるのでしょうか。その理由はコンバージェンスです。つまり、様々な分野のテクノロジーの発展が結び付き合い、相互作用を起こすことでより高度な変化へと内容もスピードも加速していくのです。

ムーアの法則

ちなみに、テクノロジーの業界では進化のスピードについて説明する際にムーアの法則を引き合いに出すことがよくあります。

これは、半導体の性能が一定期間を経て向上していくのに対し、コストはそのままであることを、インテルの共同創業者であるゴードン・ムーアが見つけ出したことで名付けられた法則です。

つまり、価格は下がっているのにより高レベルな恩恵を享受できるようになるのです。

また、技術がデジタル化することで、さらにテクノロジーの加速が速まることを収穫加速の法則と言います。

コンピューターが誕生したことにより、新しいコンピューターの開発をすることができるようになりました。

このように、一つテクノロジーが技術化されることで、その後も新たなテクノロジーへと発展していくのです。

では、エクスポネンシャル・テクノロジーに戻りたいと思います。本著で述べられているエクスポネンシャル・テクノロジーは下記の8つです。

量子コンピューター

これまでのコンピューティングは01のコードでした。

しかし、量子コンピューターになると同時に複数の状態が可能になるとされています。

そのため、半導体などが1チップあたりに搭載できる電子の数に限りがあることなどへの課題解決にもつながると見込まれています。

AI(人工知能)

AIが判断の材料とするようなデータや情報が大量にストックされてきている結果、今後もますます発展していくと思われます。

スマホやSNSを利用する人や一人あたりの時間が増えていくにつれ、積み重ねられていくデータの量も倍増していくため、今後はより精緻な予測が可能となってくると考えられます。

ロボティクス

東日本大震災の際の原子炉に投入されたのもロボットでした。

当時は動かなくなってしまい、課題が残りましたが、その後も着々とロボット開発は進んでいます。

AR/VR

五感をコンピューターの世界に転送することができる、物理の法則を書き換えるような技術です。

バーチャル世界だと思われていたものが、今後はますます没入感に浸るくらい、新たな世界へと変革していくことが想像されています。

3Dプリンティング

実は1980年代から存在していたと言われますが、近年飛躍的な変化を遂げており、材料が揃えばその場でものを創り出すことができる時代に差し掛かります。

3Dプリンティングの普及により、実際の物流に関する問題の解決や、在庫を持たなくても良いような仕組みへと変わることも想像できます。

つまり、3Dプリンティングの変化はサプライチェーンに対して多大な影響を及ぼすと考えられます。

ブロックチェーン

こちらもこの10年で出現し、飛躍的変化を遂げている一つです。

ブロックチェーンという言葉に馴染みがなくても、ビットコインや仮想通貨という言葉であれば聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ブロックチェーンとは、ビットコインの取引を支える重要な鍵となっています。

取引履歴を暗号技術によって鎖のようにつなげることで、正確な取引履歴を維持することができる技術だからです。

ブロックチェーンの浸透により、金融ビジネスの先進化も図られると考えられています。

バイオテクノロジー

生物学とテクノロジーの融合がバイオテクノロジーです。

コロナウイルス感染症の拡大により「ヒトゲノム解析」という言葉を耳にすることも多くなりました。

このヒトゲノム解析もバイオテクノロジーの一つです。

以前は解析に多大なコストと時間がかかっていましたが、技術の進歩に伴い、コストも時間も短縮化されており、今後もその傾向はますます強まっていくと考えられます。

そして、ゲノム解析が進むことで遺伝子疾患に対する解決策の提示が期待されています。

材料科学

材料科学は新しい材料を発見したり、開発をしたりする科学のことを指します。

AIの台頭により、膨大な量の元素を組み合わせることが可能になり、人力で実験を行っていた頃と比べてより高度でスピーディーな材料開発が可能になっているのです。

新たな材料が生まれることで、様々な課題に対する解決策を提示することも可能になります。

ここで、冒頭に触れた空を飛ぶ車を例に出してみましょう。

空を飛ぶ車に関しては、上記のAI(フライトシミュレーションが可能になる)、材料科学(新たな材料の開発により、耐久性に優れた材料が手に入る)、3Dプリンティング(部品の製造ができる)の融合で実現が可能だと考えられているのです。

エクスポネンシャル・テクノロジー6つのステップ

さらに、本著ではエクスポネンシャル・テクノロジーは下記の6つのステップを踏みながら変化を遂げていくと説かれています。

①デジタル化

テクノロジーがデジタル化されることで、ムーアの法則に従って加速が始まります。

②潜行

注目されているものの、なかなか成果が出せない状態が続きます。

停滞期のようなイメージでしょうか。しかし、成果が出せなくても着々と進歩が続きます。

③破壊

何かしらのきっかけを以て、社会に製品や技術が出始めます。

出始めた時には社会システムに多大な影響を及ぼし、既存の市場構造を破壊するほどの威力を持つことになります。

従来のやり方では通用しなくなってくるのです。

3Dプリンティングの技術発展はまさにこの状態にあり、日本の代表的産業とも言える製造業の存在を脅かすと考えられています。

④非収益化

既存の製品やサービスを提供する際にかかっていたコストがなくなります。

例えば現在写真を現像する人はどれくらいいるでしょうか?

データで保存することが主流となり、ネガフィルムや現像のコストがなくなります。

⑤非物質化

従来あった製品そのものが消えてしまいます。

例えば以前は音楽を聞きたければレコードやCDなどを購入していたでしょう。

しかし、今や動画サイトやインターネット上からのダウンロードが主流です。

CDなどが消えてなくなることも多いに考えられます。

⑥大衆化

富裕層のみならず、社会全体にサービスや製品が広がる状態になります。

10個の産業カテゴリー

ここまで、世界を塗り替える変化のトレンドについて、各テクノロジーを紹介しながら解説してきました。

次にこれまで見てきたテクノロジーが、具体的に既存産業にどのような影響を与えるのか、10個の産業カテゴリー別に未来予測を紹介していきたいと思います。

消費/小売(買い物全般):

  • デジタルアシスタントによる買い物へ移行していく
  • 倉庫や配達でロボットの活躍が始まる
  • 3Dプリンティングの普及により在庫体制が一新される
  • レジやレジ打ちスタッフが不要になる

広告:

  • AIにより、さらにパーソナライズされた広告表示がされるようになる
  • 自動で買い物をするようになり、広告そのものが不必要になる

エンターテインメント:

  • AIがコンテンツの作成をするようになる
  • AR市場が拡大していく
  • ARコンタクトにより、脳に映像を直結させることが可能になってくる

教育:

  • AIツールを用いて、個々の能力に合わせた教育を施すことができるようになる
  • 社会見学等にVRの活用が始まる

保険・金融・不動産・食料:

  • 自動運転の普及により、自動車保険が終焉する
  • ロボアドバイザー投資が普及し、証券マン/銀行員に取って代わられるようになる
  • 移動が短縮化することで、好立地の概念がなくなる
  • 培養肉が普及する
  • AIとロボットにより、農業の生産性が向上する
  • AI予測を用いて食料流通の無駄が減少する
  • AI予測により、保険の発生や請求額が減少する

医療・寿命:

  • 遠隔でロボット外科手術が可能になる
  • 遺伝子技術により、治療可能疾患が増加する
  • 3Dプリンティングにより、人体の部品交換も可能になる

さいごに

以上「2030年:すべてが加速する世界に備えよ」の解説をしてきました。

今後は私たちの想像をはるかに超えるような変化が次々と引き起こされ、社会のあり方が変わることがイメージできたのではないでしょうか。

そのような状況を前にして恐れ慄いてしまう人や不安を覚える人もいるでしょう。

ただ、本著はテクノロジーの進化に対する警告ではありません。

著者は、本著で触れているような想像がつかないような社会に対しても、私たちができることはあると述べているのです。

それは、現在のテクノロジーの変化を正しく理解することです。

もはや、変化のスピードを止めることはできません。

だからこそ、正しい知識を持つことでしっかりと対策を取り、変化の波に置いていかれないようにする努力が求められているのです。

これからの社会がどのように変化していくのか興味がある方にはぜひ一度読んでもらいたい1冊です。

スポンサードリンク







いいねと思ったらこの記事をシェア!