【新たな脳へのアプローチ】BRAINに書かれた秘訣を実践して、一流の頭脳を手に入れよう!




今回は「BRAIN:一流の頭脳」という本をご紹介したいと思います。二流、三流の頭脳が逆にどんなのか気になりますが、結論「○○しましょう!」です。

教育大国スェーデンでみつけた新たな脳へのアプローチ

こちらの本の著者であるアンダース・ハンセン氏はスウェーデンで生まれ、現在は精神科医として活躍しています。

ノーベル生理学や医学賞を決定する機関であるカロリンスカ研究所で医学を学んでおり、これまで2000件以上も医学記事を発表するなど、医学界を代表する医師かつ研究者でもあります。

そのハンセン氏が精神論ではなく、研究に基づいて「自分を変えるための方法」を実践的に記したのが今回ご紹介する「一流の頭脳」という一冊です。

この本の中では、「学力・IQ・集中力・創造性・認知力・記憶力・長寿・抗疲労」など、あらゆる脳の機能を伸ばすための方法が記されています。

たとえば、

  • 「ストレスを効率的に解決するためにはどうしたら良いのか?」
  • 「集中力を保つためにはどうすべきか」
  • 「精神論ではなくやる気を高める方法」
  • 「学力を高める方法」

など、あらゆる方法が提示されています。

著者の出身であるスウェーデンは教育大国ということでも知られていますが、そのスウェーデンで大ベストセラーとなっていることからも示唆されるように、実践的に脳に働きかけることができるという意味でこれまでとは異なる、新たなアプローチを詰め込んだ一冊と言えるでしょう。

仕事や学業で壁にぶち当たった時、人間関係でストレスを抱え込んでしまった時、特に現在のコロナ禍では、コロナ以前の生活とは打って変わり、不自由や窮屈な生活を強いられて気持ち的に塞ぎ込みがちになってしまっている人も多いことでしょう。

今こそ自分の「心」と向き合わざるを得なくなっている時代はないのかもしれません。

2018年とコロナ以前に出版された本ではありますが、今の時代の方こそこの本が求められているとも言えるでしょう。なんとなくやる気を失っている人や現状を変えたいと思っている人にはぜひ手に取ってもらいたい一冊です。

「運動をしましょう!」

この本の中で一貫して述べられているメッセージを一言で表すと「運動をしましょう!」ということです。

それだけ見ると

「え?運動だけで自己改革ができるの?」

と疑心暗鬼になる人もいるかもしれません。

もしくは「運動はちょっと、、、」と躊躇する人や「運動くらいなら普段からやっているよ!」という人もいるでしょう。

この本の中では「どのような運動が、どのように脳に作用して、どのような効果をもたらすのか」ということが明確に記されています。

そして、著者の経歴からもわかるように、この理論が科学的根拠に基づいていることも本書の特徴です。

自分が変わりたいと思っていることにアプローチする運動の方法を実践に取り入れることで、確実に変化を実感できるようになる、というのがこの本が伝えようとするメッセージです。

では、本の中身を詳しく見ていきましょう。

「機能的な脳」を手に入れる

まず、自分を変える、高めるためには「機能的な脳」を手に入れることが必要です。

では「機能的な脳」とはどのような状態を指すのでしょうか。

「機能的な脳」とは、良い細胞がたくさんあるもののように思えますが、ハンセン氏によると、機能的な脳とは脳の各領域がしっかりと連携しているものなのだそうです。

そして、運動こそが各領域の連携を強固にし、脳自体をアップグレードさせることにつながっているというのがハンセン氏の主張です。

特に、日常的に運動をしている人は前頭葉と他の領域との連携が強くなる傾向にあるため、良い作用を及ぼすと考えられています。

「GABA」というアミノ酸を活用する

また、運動と脳の相関メカニズムとして、脳の活動を抑制する物質である「GABA」というアミノ酸が運動により活動を抑えることが挙げられています。

GABAはブレーキのような存在ですが、運動により、ブレーキ機能が落ちると考えると想像しやすいでしょう。

ブレーキがかからないことで、脳が常に柔軟な状態を保つことが可能になるのです。

この本の最初で著者は脳が物理的に変えられる理屈を、実験を引き合いに出しながら説明しています。

著者は被験者を2つのグループに分け、1年間ウォーキング(心拍数が上がる程度の運動として分類されています)をするグループとウォーキングほどではない、軽い運動(心拍数が上がらないもの)を続けるグループの観察を行いました。

前者のウォーキングを1年間継続したグループの脳の画像をMRI検査で確認すると、脳の前頭葉と側頭葉、側頭葉と後頭葉の連携が強化されたことが明らかになったのです。

ストレスが脳を破壊する?!

次の章では「ストレス」についても言及されています。

現代はストレスの多い世の中といっても過言ではないと思います。

ストレスを完全に除去することは難しく、上手くストレスと付き合いながら生きていくことが必要とされているでしょう。

ただ、ハンセン氏はストレスが脳を破壊する作用をも持つことを示唆しています。

ストレスホルモンの中には「コルチゾール」という物質がありますが、これが長期間にわたって分泌されてしまうと記憶や学習に大きく関わる脳の部位である「海馬(かいば)」を萎縮させてしまいます。

実際、うつ病を発症した患者さんの多くに海馬の萎縮が見られており、ストレスと脳の関係性は明らかなのです。

そこで、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌をコントロールする方法としてハンセン氏が推奨するのが「運動」です。

最初は運動により一時的にコルチゾール値は上がってしまいます。

これは、最初は運動することがストレスとして脳内で認識されてしまうからなのです。

しかし、運動を続けていくと運動をすること自体に脳内が慣れてくるため、コルチゾール値の上昇が抑えられていきます。

耐性ができると考えるとわかりやすいでしょう。

運動によって集中力も高めることができる

運動によって「集中力」を高めることもできるとハンセン氏は説いています。集中力に関係するのはドーパミンという物質ですが、こちらも運動によって得られるのです。

特に、ADHD(注意欠如、多動症)の人たちは集中力を持続させることを苦手としますが、運動によって行動の抑制ができるようになり、症状が改善されているという結果もあります。

また、集中力をコントロールする前頭葉の機能も、運動によって向上することがわかっています。

運動によりドーパミンの分泌量が上がるため、感覚が研ぎ澄まされ、集中力が高まる効果が確認されているのです。

やはり精神科医であるハンセン氏なので、この「やる気」やうつ病の人に対するアプローチとしての運動という部分に非常に重きをおいています。

うつ病の人の脳内では「BDNF」という物質が低下していることが研究から分かっています。

このBDNFが増えると脳の老化を防いだり、やる気低下を防いだりすることが明らかになっているのです。

アメリカでうつ病患者を2つのグループに分け、抗うつ剤を服用したグループと運動をしたグループを観察すると、4ヶ月後では回復した人数に差は見られなかったものの、半年後のフォローでは運動をしたグループの患者の方がうつの再発率が低いことが明らかになったのです。

運動は記憶力にも作用する

ハンセン氏は「記憶力」についても言及しています。

先にも出てきた記憶を司る「海馬」ですが、1年で約1%萎縮することが通常の脳の作用となっています。

しかし、運動によって海馬は萎縮するどころか、成長することが明らかになっているのです。

運動の中でも特に「有酸素運動」が海馬の成長に効果があるとされています。

ただ、記憶の種類によって最適な運動が異なることもここでは書かれています。

名前と顔を一致させるような「連想記憶」に関しては「筋力トレーニング」の方が有効とされているのです。

心拍数をあげる運動が良い

他にも、本著の中で紹介されている機能の運動の種類に関しては、

  • 暗記→ランニング
  • 記憶力→ランニングと筋力トレーニング
  • 創造性→ランニング

があります。

ただ、一環として本著で述べられていることは、心拍数をなるべく上げるような運動が良しとされているということです。

もちろん、ハードルが高いと感じる人もいると思います。

そのような人は週数日、2~30分のウォーキングから始めるだけでも効果は十分あることが書かれています。

確かに脳内物質に作用し、そこから脳が再構築するためには長期間の継続が必要なため、すぐに効果を実感できるものではありません。

しかし、実験からも長期間続けていれば良い効果をもたらしていることが記されているため、ぜひその言葉を信じて始めてみることが大切です。

まずは半年続けるだけでも効果は実感できるようになるだろうとハンセン氏は触れています。

認知機能を測るテスト

さらに、本著で紹介されている「学力」の研究の一つに、認知機能を測るテストも紹介されています。

その中では、立ったまま机を使うようになった学生からは、集中力や記憶力、認知制御の能力が高まったという報告が出ました。

テストの結果も、平均10%以上も高まったことがわかっています。

今や会社の会議などでもダラダラと長期化しないため、スタンディングデスク方式を取り入れるところもあるようです。

自分のデスクがないフラットかつ自由な働き方も随分広まった現代では、立ちながらの交渉や仕事話の方が充実して結果につながることも多いでしょう。

「立ったまま」の行為もが、学生を対象とした研究で実証されているのです。

大事なことはコツコツ続けること

もちろんこれまで運動をしてこなかった人が急に過度な運動をすることは身体に負荷がかかりすぎてストレスになりすぎてしまうこともあります。

また、運動が脳に影響を与えるためには長期的な視点が必要なため、継続できない運動の仕方も意味がありません。

運動が苦手な人や今から始める人はウォーキングなど、始めやすいものを短時間からコツコツ始めるのが良いでしょう。

大事なことは焦らずコツコツと続けることです。

逆に、運動をすることが苦ではない人は、高めたい能力に応じた運動を取り入れていくと良いと思われます。

また、ウォーキングではなくランニングなど、少しずつ自分に負荷がかかる方法に切り替えていくと、より高い効果が得られるでしょう。

確かにスポーツ選手などを考えると、集中力の高さが身に付いていることはわかりやすいですし、ポジティブ思考な人が多いことも理解できるでしょう。

中にはメンタルヘルスについて学んでいるスポーツ選手もいるでしょうが、日常的な運動がスポーツ選手の脳内に与えている影響もあるように思われます。

ただ、ハンセン氏の研究では筋トレから得られるような筋力が脳内物質に影響を及ぼす経路は確認されておらず、ウォーキングに代表される有酸素運動から得られる持久力が及ぼす好影響しか確認されていません。そのため、運動と一口に言っても種類によっては思ったような効果が得られないことも認識しておきましょう。

最後に

以上「BRAIN:一流の頭脳」について解説してきました。

結論は「運動しましょう」となってしまいますが、その言葉の裏付けとなる理論がしっかりと詰まった一冊となっています。

もちろん運動に良い効果があることはわかっていても実践に移せない、という人も多いと思いますが、これだけ科学的根拠があるので、自分を変えたいと思っている人にはぜひ運動を始めるきっかけとなることでしょう。

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