【ライフピボット?!】「良い偶然」に遭遇するためにも、日頃からの経験の蓄積を怠らないこと




今回は、昨年2021年に出版された本の中でも、キャリアやライフプランニングの分野で注目を集めている「ライフピボット:いつだってやり直せる」という1冊をご紹介したいと思います。

長い人生をどのように生きていくのか?そのヒントが得られる

こちらは東大を卒業後、ベンチャー企業に就職し、自身でも起業をするなど様々なキャリアを積んできた黒田悠介氏によるものです。

本著では人生100年時代を生きるための転身術が書かれており、この先長い人生をどのように生きていくのか、実生活で実践できるようなヒントが得られるような1冊となっています。

では早速本の解説をしていきましょう。

ライフピボットとは

ピボットという言葉は、スタートアップ企業などでビジネスモデルが定まっていない時に、コア(大事な部分)は残しておきつつやり方を変えるような、方針転換を図る際に多く使われています。

そこから派生し、黒田氏はライフピボット=これまで積み上げてきたキャリアなどを切り捨てるのではなく、現在やっていることに軸足を起きながら、新たなキャリアに転換していくという考え方として提唱しています。

なぜなら、これまでの経験(現在やっている仕事も含めて)が偶然繋がり、未来の可能性が開かれることがあるというのが黒田氏の考えだからです。

ライフピボットをするためには⇛「蓄積(仕事を通じて得られる)+偶然(計画的偶然性)

上記の考え方を裏付けるような言葉として「Connect the dots」というものがあります。

これは、スティーブ・ジョブスが以前スタンフォード大学の卒業スピーチで述べたものです。

訳すと

将来を見据えて点(経験)をつなぐことはできないものの、後々振り返ってつなぐことができる

ということになります。

つまり、その時点ではどのように役に立つか分からないようなスキル同士でも、磨き続けることでいつか他のスキルと相乗効果をもたらすことが十分にありえるのです。

振り返った時につながった、と思えるよう、点=経験をいくつも持っておくこと、そのためにも様々なことに興味関心を持ち、アンテナを張り巡らせておくことが重要なのです。

なぜライフピボットが必要なのか

上記でライフピボットの考え方をイメージできたと思います。では、そもそもなぜライフピボットが必要とされるのでしょうか?

以前「LIFE SHIFT2:100年時代の行動戦略」という1冊をご紹介しましたが、そこでも現在は寿命の長期化が加速しており、人生100年時代に突入していることが指摘されていました。

そのため、現代を生きる私たちは親世代の歩んできた道と同じような道を歩むことは難しくなっているのです。

つまり、定年まで同じ企業で勤め上げ、引退後は年金暮らしで趣味を楽しんだりゆっくりと自分の時間を持ったりするような暮らし方は今の時代の生き方としては合っていないと言えます。

時代の流れに置いていかれないようにするためにも、ライフピボットをしていく必要があるのです。

働き方一つを取ってみても、今や転職や起業、副業/複業や在宅ワークなど、多様性に富んでいることが分かります。

変化が激しい時代だからこそ、今後はいくつものライフスタイルを掴み取れるような蓄積をしておき、必要な時に転換(ピボット)しながら生きていくことが求められているのです。

変化に柔軟に対応できるか否かは個人の蓄積にかかっていると言っても過言ではありません。

3つの経験の蓄積

これまでライフピボットには蓄積が重要であると繰り返し触れてきましたが、黒田氏は本著の中で蓄積すべき3つの経験を挙げています。早速一つずつ見ていきましょう。

①価値を提供するためのスキルセット

スキルの中でもさらに3つにカテゴライズして説明しています。

*テクニカルスキル

資格に代表されるような、仕事をする上で必要とされるような能力です。

プログラミングができたり、簿記の資格を持っていたりするなど、手に職を持つようなことを指します。

*ヒューマンスキル

いわゆるコミュニケーション力と呼ばれるものです。

社内外を問わず、人と良好な関係を築けるようなコミュニケーションが取れる能力や、リーダーシップを発揮できることも、このカテゴリーに分類されます。

*コンセプチュアルスキル

目の前の物事を論理的に説明できたり、多様な発想力を巡らせたりできるような能力です。

思考力と捉えても良いでしょう。

②広範囲かつ多様な人的ネットワーク

新たな機会を創出するためにも欠かせないのが人との交流です。

本著では人的ネットワークを広げるために信用と信頼が必要になってくることを説いています。

信用と信頼は似ているようで、異なる概念として書かれているので、きちんと理解しておきましょう。

信用

単方向で客観的な評価です。

周りからの信用が得られるように、常に努力をする必要があります。

信頼

双方向で主観的な関係のもとに築かれるものです。

仕事を共にしたり、多くの時間を共有したりすることで信頼関係が生まれてきます。

③自己理解

自分の嗜好(何が好きか、何に楽しさや喜びを覚えるかなど)をきちんと知ることが大切です。

また、仕事をしている中でどのようなことには意味を見出して注力できるのか、逆に何は意味がないと感じるのか、自分の気持ちや考え方にも向き合ってみることが書かれています。

様々な経験を積むことで、自分の感情がどのように動くのか、という自己理解を深めることができるのです。

どのように蓄積すれば良いのか

では、上記で触れたような経験をどのように積んでいけば良いのでしょうか。本著では、経験の蓄積のために6つの行動が紹介されています。

①マッチングサービスの活用

今や、ビジネスマッチングのためのアプリやサイトなどが多数存在します。

そのようなマッチングを積極的に利用することで、自分の興味のある分野において新しい人脈を作ることが可能になります。

②継続的な発信

自ら何かを発信し続けていると、あなた自身に「○○という人」というイメージがつきます

今はYouTubeやSNSで日々の生活や趣味を発信している人も多いでしょう。

例えば、料理が好きであれば、日々の献立やレシピなどを発信し続けることで「料理に迷った時にはあの人の情報を見てみよう」というイメージにつながります。

イメージがより多くの人に拡散すると、そこから新たな人脈につながったり、次で紹介するイベントやコミュニティの参画へもつながっていったりします。

③イベントへの登壇/主催

イベントへの登壇と聞くとハードルが高そうに思えますが、ステップを踏めばそれほど不可能なことではありません。

最初はイベントの主催者と知り合いになり、その人に「自分ならこのようなテーマが話せます」というアピールをするのです。

そして、あなた自身の存在が認知され始めることで、イベントへの登壇にもつながっていきます。

きっかけ作りはまず自分の行動から始まるのです。

さらに、イベントの登壇回数を重ねることで、自分自身でもイベントを主催できるようになり、さらなる人的ネットワークの拡大を図ったり、プレゼンテーションスキルやイベントを開催するためのスキルを身につけたりすることができるようになります。

④コミュニティに参加/主宰

③のイベントとは対照的に、コミュニティは長期的な人の集まりです。

コミュニティを作ることで、同じ関心を持った人たちと繋がりやすくなり、自分自身の思考に新たな視点が得られやすくなったり、新たな人脈を創出したりすることにもつながります。

⑤ギグワーク(短時間仕事)

ギグというのは、一回限りという俗語として使われることがあります。

そこから派生してギグワークというのは隙間時間に担う仕事のことを指します。

わかりやすい例では、宅配サービスのUber Eatsでしょう。

本業とは別に、自分の空いた時間を使って食事のデリバリーをしているので、隙間時間に担う仕事=ギグワークということになります。

黒田氏は、ギグワークをすることで今行っている本業とは別の、実践的なスキルを身につけることができると述べています。

⑥ギブワーク

こちらは無償の仕事です。無償ですが、その分経験を買っているとイメージすると良いと思います。

ボランティア活動などに参加したことがある人は、お金が払われていないことが大半でしょう。

しかし、そこから得られる知見や経験は、仕事をしているだけでは気づけないことも多いものです。

無償の仕事を通して、自分の価値観や人生を見つめ直すきっかけにもなります。

ライフピボットとは、計画的偶然性の上になりたつ

本著では「計画的偶然性」という概念が紹介されていますが、こちらは本著で述べられている特徴的な概念の一つとも言えるでしょう。

偶然と計画とは相反するような言葉ではありますが、黒田氏によれば、偶然を計画的に味方につけるための理論ということです。

振り返ってみれば、人生は多くの偶然で成り立っています。

自分がどの親のもとに生まれて、どこの学校に行って、どのような人と同級生や同期になって、どこで働いて、といったことは、多くの場合自らの選択というよりは偶然によって決まっているようなものです。

しかし、いつも決まったやり方を踏襲しているだけでは偶然の発生頻度が下がります。

偶然をなるべく多く生じさせ、可能性を広げるためにも計画的に偶然を引き起こす必要があるという考え方なのです。

例えば、あなたが今日、2つのグループから食事に誘われたと想像してみてください。

1つはいつもの決まったメンバーとの食事。もう1つは初めての人たちとの食事です。

あなたならどちらを選ぶでしょうか?

計画的偶然性の理論では、後者を選ぶことによって、偶然が起こる可能性を広げることができるということです。

上記の例で少し具体的なイメージが描けたと思いますが、本著で黒田氏は偶然を引き起こすために5つのマインドが必要だと述べています。

  • 好奇心:不慣れなことであっても、新たな機会に好奇心を持つこと
  • 持続性:夢中になるほど、一つのことを掘り下げて続けるような姿勢
  • 楽観性:深刻になりすぎず、何とかなるだろうと考えること
  • 柔軟性:一度決めたら後に引き返せないと考えるのではなく、途中でもやり直したりやめたりすることも視野に入れながら、柔軟に対応していく姿勢
  • 冒険心:予測不能な場面でも、リスクを取ること

つまり、同じ殻に閉じこもっているのではなく、何かに熱中したり新たなことに挑戦したりすることで、未来の偶然をより多く生み出すことができるのです。

さいごに

以上、黒田悠介氏によるライフピボットという1冊をご紹介してきました。

ライフピボットをするために様々なキャリアを積まなくてはいけないと考えがちですが、本著ではあくまで現在の仕事に軸足を起きつつ経験を積むことについて書かれています。

自分にとって「良い偶然」に遭遇するためにも、日頃からの経験の蓄積を怠らないようにしたいものです。

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