【コンサル】見えないクレームの恐怖

見えないクレーム




お世話になっております。弊社は、企業や店舗様の「売上・収益改善」を行うコンサルティングをさせて頂いており、これまで過去の経験や勘に任せていた販促を独自の診断・分析手法に基づき、より少ないコストでより多くの効果を創造することを目的としています。

真面目に顧客視点を考える

このブログでは(ひとりごとも多いのですが)現場で見たヒントや事例、調査の中から「今日から使える」情報をお届けし、さらに収益をあげて頂きたいという事で定期的に情報提供させて頂いております。ほんの少しでもお役に立つことができれば幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。(今日は少し真面目に書き込みたいと思います

お客様の“本音”本当に聞こえていますか?

  • 「お客様の9割は不満を持った店に二度と行かない」
  • 「不満を知り合いに話すお客様 は9割にのぼる」
  • 「悪い評判は良い評判の2倍広がる」

お客様はなかなか本心は言わない。料理やサービスに不満を抱いてもクレームにするのはほんのごく一部です。ましてやお客が漠然としか感じない「居心地の悪さ」は表面化されません。

しかしこうした「見えないクレーム」こそ客離れの元凶。手を打たなければお客様は減っていきます。

漠然としたアンケート用紙だけではもはや本音の声は聞き出せません。

アルバイトや常連客、第三者の視点もフル活用しお客様自身も気づかない不満や要望をすくいあげる事が必要です。

見えないクレームはなぜ、怖い?

マスコミにも頻繁に登場する東京・赤坂の有名中華料理店Sさんのケースを見ながら検証していきます。

ここで手をつけないとやばいと思ったよ。親父が創業して35年。「S」という名前に胡坐をかいてお客様の不満をすくいあげていないことに気づいた。今、すごい危機感を感じているんだ。

「S」の社長Cさんの告白です。

きっかけは知人の言葉だったのです。

Cさんの店はサービスが悪いね。コートを預けてもぶすっとしている。らしくないよ。あれじゃお客が来なくなるよ

って。営業は順調で味には絶対的に自信があっただけにCさんはショックを受けました。

実際に本店についてもインターネットに批判的な意見が書き込まれており、

  • 「グラスを置くときもいきなりドスンと置かれた」
  • 「コース料理を出すタイミングが悪い」
  • 「代わる代わるお店のスタッフが頻繁にテーブルに来るのでうっとしい」‥‥。

そこでお客の生の声に直面し、Cさんは全面改装を機にサービスの抜本的改革に乗り出したのです。

不満を感じさせても、その場ではなかなか顕在化しない

それから半年、改革の成果は徐々に表れ、対応の悪さを指摘していたホームページには「改装後はサービスがよくなった」と評価する意見も出てきました。

スタッフの意識も変わり始めました。私が何度も厳しく言ってもできなかったことが、顧客の意見がわかることでスタッフ自身が自らやるようになったんです。驚きですよ(笑)なにげないひと言をお客様から頂くことで接客の喜びが増していくんでしょうね。

見えないクレーム”を放置するとある日、突然お客様が来なくなる お客様の不満はなかなか店には見えないものです。

我慢できないほど不満に感じない限り、わざわざ言い出してくれません。知人からの意見もありきたりで辛辣なことは意外と言ってくれないのです。だから、言葉として店側に伝わるクレームはほんの氷山の一角に過ぎません。

アンケート調査でも「不満を感じたり嫌な思いをしたけれどクレームを言わなかった」経験のある人は実に9割に上りました。

不満の内容をみると、

  • 「料理が来るのが遅かった」
  • 「店員に呼びかけても返事がなかった」

など従業員のマナーの悪さやサービスの不備に関することが多いのがわかります。

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じゃりんじゃりん?

どんなに心を込めた料理を出してもたったひとつのスタッフの接客でパーなのです。オーナーがいくら顧客サービスに熱心でも従業員のマナーによってお店の売上はジャリン、ジャリンと音を立てて逃げてしまうわけです。

不況になるとギリギリの人数で営業するのでオペレーションで手一杯。この“忙しさ”こそ見えないクレームの元凶。お客の方もこうした状況に慣れ『いちいちクレームを言うのは面倒くさい』と思うようになる。

との分析結果があります。

「まあいいや。もう来ないし‥。」 こうして生まれた「見えないクレーム」のひとつは一見すると些細なものです。しかし、「その経験が原因でその店に行かなくなった」人が9割、さらに「クレームはしなかったがその店の悪口を知人に話した」人も9割以上となると些細・・・とは言っていられません。

グッドマンの法則

たったひとつの見えないクレームによりその本人はおろか多くの潜在的なお客まで失う可能性があるわけです。この話を裏付けるのが顧客満足の世界でよく知られる「グッドマンの法則」です。

これによると

「良い評価は5人しか伝わらないが悪い評判は10人に伝わる」またクレームを申し立てない人の再購入率は9%に過ぎない」

特に周辺に競合店がないがゆえに賑わっているお店は要注意。そうしたお店には「そこしかなから」と仕方なく通うお客様が多いかもしれないからです。

従来型のアンケートでは不十分

テーブルの上に良く置いてあるアンケート。中には紙が汚れていて「しばらく誰も答えていないだろうなあ」と感じてしまうようものもよく見かけます。

確かにお客様の声を集めるのには有効な手段です。やり方次第ではそこから得るものは大きいのは事実です。

しかしアンケートに答えるのはごく一部のお客様。極端な意見が大半で「本当は不満だが」という本音はよほどでない限り表に出てこないのが現状のようです。

また集計されたアンケートは店長が見るだけで共有されていない。あとは事務所に山積みといったケースも少なくありません。

お客様のことは現場に聞け!

パート・アルバイトは最大の武器 見えないクレーム探しにはお客に一番近い場所にいるスタッフから情報を吸い上げるのも有効。

ある焼肉店では「お客様の声」と題した用紙を各店に用意。パートスタッフに毎日仕事を終えてタイムカードを押す前その日に、

  1. 「お客様から言われたこと」
  2. 「それに対してどう答えたか」
  3. 「自分が気づいたこと」

について記入してもらっている。「以前から社員が気づいてないことが多かったので」というのが導入のきっかけ。

社長が毎朝、チェックし答え方が間違っている場合は理想的な対応の仕方を記入して店舗に返信しているとの事。

常連客もモニターに活用

お客様の生の声を引き出すために常連客をモニターにしている店舗もあります。

このお店ではメニュー変更のときに週に1,2回は来店する常連客に新商品を食べてもらい「お客様代表」として意見を言って欲しいと頼んでみたところいろいろな指摘を受け、それ以来、特に意見を率直に言ってくれる常連客3組を対象に新商品のチェックを頼んでいるとの事です。

携帯、ネットで回答率アップ

またあるお店では、以前から自由に書き込むスタイルのアンケート用紙は置いていたが書き込む人は少ないため2年前からインターネットや携帯電話を利用したアンケートを導入。

質問事項は社長が考え、携帯電話を使った情報配信システムを導入したのです

お客様はそのサイトにたどり着くまでの手順を書かれたカードをみて携帯やパソコンからアンケートに答えるわけです。

アンケート結果はインターネットの専用ページですぐに確認でき、オーナーがお店に居なくてもインターネットに接続できる環境にあればどこでもお店の状況は一目瞭然でわかります。

アンケートの回答者は毎月120人前後になっており普段、店内ではあまりクレームを言わない世代からの本音も多く集まるので貴重な情報源との事です。

またこのサービスの利点はお詫びや御礼、新商品の案内を送ることもできるところにあります。「お客様に返信することで距離感をぐっと縮めることができます」との事です。

貴重な声もほおっておけばただのゴミ

様々な工夫をしてお客様の隠れた不満や要望を集めたはいいがそのままに放っておいたのでは宝の持ち腐れになります。情報を活かすためのポイントは大きく3つ。

①情報の共有化

お客様がどんな点に不満や不快感を感じているかがわかってもそれをスタッフ全員が認識しなければ同じ過ちを繰り返してしまうからです。

②寄せられた不満や要望に対しては実現できる、できないに関わらず返事をする

「アンケートに対する回答がわかるようにして欲しい」「名前やアドレスまで書かせるくせに何もレスポンスがないアンケートなんて無意味」という意見がよく目立ちます。

③情報の取捨選択

意見や要望はどれも貴重ではありますが、中には自店の方向性に相容れないものや極端な意見もあります。いろんな意見がある中から何をどう生かすかは必要不可欠なステップです。

クレームとして申し立てのあったことについては店の財産として残しているお店は多いが見えないクレーム、不満レベルのものは記録に残しているケースはそう多くありません。

本来はこれこそ隠れたクレームを最小限に抑え店の繁栄を維持するための策といえます。

焼肉店のGチェーンでは毎月、顧客満足調査の結果をランキングし、社内報で公開すると共に高得点を獲得した店を成功事例として取り上げその秘訣を誌面で紹介しているのです。

「短期間でこれだけ成果をあげた店の取り組みは他店にも参考になるはず」

と同店の中間サービスを重視する姿勢やお客様の人数にあわせたシフトの工夫を紹介。

不満や改善点だけでなく効果をあげた改善例を共有することもクレームの予防策として大変重要なのです。

顧客へのフィードバックを忘れない

お客様から意見をもらったら絶対に忘れてはならないのがそれに対する何らかのフィードバックです。

お客様にしてみればわざわざアンケートに答えたわけで、それなりに面倒なこと。それでも答えるのは「何かが改善されるかも知れない」「少しでも役に立てれば」と思うからなのに、何の反応もなければ肩透かしをくらったような気分になる。

次回からは「何を言ったってどうせ伝わらない」「どうせ改善されない」という気分になり答える気が失せてしまうのです。

逆に意見に対して何らかのフィードバックがあれば「ここは聞く耳を持っている店だ」と思い、気づいた点があれば次回も答えてくれる可能性が高いのです。

こんな私の意見を取り上げてくれて感動です

意見を即座に実践することで「こんな私の意見を取り上げてくれて感動です」という声は数多くあり、そのお客様はファンになり「改善された」という事を口コミしていくことに間違いありません。

フィードバックの方法は様々です。答えた人全員に手書きのコメントを添えたDMを送るのも良いでしょう。

個別にできないという場合はお客様の声とそれに対する店舗の回答、実際の改善内容などをホームページの掲示板やメールでの告知、店頭でのポスター掲示などの方法があります。

またお客様向けに発行している手作りの新聞などに掲載しているケースも好評のようです。

お客様の価値観は千差万別

お客様の価値観は人それぞれ。よってお客様から望まれているからといって次々に取り入れたらそれこそ全てが中途半端になってしまいます。

そのために集めた声の取捨選択が必須。様々な声から最善の声を選ぶにはまず自店のウリは何か、またターゲットとしている客層は何を求めているかを明確にすることが必要です。

  • 自店のウリを明確に 自分の店のウリは「速さ」なのかそれとも「価格」「サービス」なのか。その基準に照らし合わせて判断します
  •  多くの「不満」を優先 多くの人が不満としていることこそ店の一番の弱点のはず
  • ターゲットの意見かどうか 20代がターゲットの店なら50代や40代の意見よりも20代の意見を優先すべき
  • 日頃から問題意識を持つ

「どうしてこのメニューは売れないのか」「どうしてあの席は敬遠されるのか」という問題意識を持っておくとお客様の声を見たときに改善のヒントが見つけることができるのです。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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