繁盛店開業するためには、物件を探すときもオープニングスタッフを採用育成する時も数値計画から分析する必要があります。主にどのような数字を分析すべきか?最低限知っておかなければならない経営の数字のポイントについてお伝えしていきたいと思います。
逆算
すべては逆算と、いつもお伝えしていますが、何から逆算すべきか?開業時にはよく考え無ければなりません。
もちろんこれから開業する方にとって、起業がゴールの様に思いがちですが、起業はスタートです。結婚と同じで、女性は結婚がゴールと感じやすく、男性はスタートと感じている方が多いようです。
おっと脱線気味になりましたが、つまりは開業時からの逆算ではなく、言えば当たり前なのですが、開業するために開業するのではなく、繁盛店を経営するために開業するので、開業前からあるべき開業後の繁盛店の姿から、逆算しなければなりません。
家賃交渉も銀行との交渉も。
店舗開業の場合、かならず物件を探すところから始まります。様々な立地や家賃条件の中から選択しなければなりません。
その次は人材採用ですね。どのような賃金条件で募集すべきか?まだ経営が始まっていない時点でどんな根拠でそれを決めれば良いのか?なかなかわかりづらいところだと思います。
まずは、経営者になるならば知っておかなければならない数字のポイント9つについて。かなりざっくりですが、最低限、これだけは考えておいてほしいのです。
9つのポイント
- 月商どれくらいの売上をあげるお店にしたいか?
そのために、
- 原価率は?
- 固定費は?(家賃・社員人件費)
- 変動費は?(アルバイト人件費、水道光熱費、旅費交通費、その他雑費など)
これらから導きだす、
- 損益分岐点は?(固定費÷(1−(原価率+変動比率(=変動費÷目標売上)))
- 客単価は?
その損益分岐点をクリアするために、
- 必要な客数は?(損益分岐点÷客単価)
- 営業日数は?
- 1日あたりの顧客数は?
ここまで想定で計算してみてください。
事例
例えば、目標月300万円の売上をあげるのに、
原価を33%、家賃を30万円、社員人件費を45万円、そのた経費諸々を50万円とした場合、損益分岐点は、
(30万円+45万円)÷(1−(33%+(50万円÷300万円)))=約151万円
客単価を3000円で設定した居酒屋の場合であれば、
必要客数は、151万円÷3000円ですので、503人。
営業日数を25日と設定した場合、一日約21人。
一日あたり、21人を超えればあなたのお店は黒字化し、利益を上げることができます。
当然目標である300万円をあげるためには、
同じように計算すると一日40人の来客数が必要になります。
数字計画から想定される現場の実態は?
基準を30万円として決めた家賃で借りることができる物件は、
- 何席設定することが可能な広さでしょうか?
- また交通量は店舗前で一日どれくらいあるでしょうか?
- 近隣の駅の乗降客数はどれくらいあるでしょうか?
- また競合店は近隣にどれくらの店舗数、どれくらいの広さで運営しているでしょうか?
大家さんや不動産屋さんとは、これらの計画と近隣情報を踏まえて家賃交渉をしていかなければなりません。
従業員の給与設定について
これは、労働分配率を考えて採用計画を立てなければなりません。この労働分配率とは、
売上ー原価=粗利益のうち何%を人件費として投資するか?
を考える数値です。
これをたたき出す根拠は、一人当たり1時間にどれだけの利益を出すことができるか?(人時生産性)を考えるために人件費を除く最後に残る利益を全員の総労働時間で割ります。
事例
前例とおなじく目標月商300万円の売上をあげるのに、原価を33%、家賃を30万円、その他経費諸々を50万円とした場合、単純に利益は、
300万円ー99万円(原価33%)ー家賃30万円ー諸々経費50万円=121万円
になります。
725日営業ですので、一日仕込みなどの時間もいれて、12時間とした場合、300時間の営業時間があり、それを店舗スタッフのべ3人であたった場合、総労働時間は、900時間となります。
121万円÷900時間=1344円/時が人時生産性となります。
時給1400円以上、人件費を払ってしまったら、毎時間、赤字が垂れ流されていく計算になりますね。
1344円の中から、いくらスタッフに給与を支払うことができるか?
さらには、近隣地域の募集時給の兼ね合いを見ながら、物件を探すときも人材を採用するときも考えていかなければなりません。
さいごに
すこしややこしい数字の話になりましたが、開業前は、根拠となる数字を導きだしにくい。
そこでこのように様々な数字を細かく分析しながら、自分なりの基準を作り、諸々の計画を立て、銀行交渉、家賃交渉などをすすめていくと、あなたの信頼度もアップすること間違いなしです。
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