前日のブログに引き続き、バケツの穴をふさぐ 例えばこういったケースがあります。この事例は、私が若いときに調べた、大阪の食い倒れの飲食店が倒れまくる理由です。
落とし穴は「順番間違い」
新規でお店をオープンする際、多くの経営者は、最初に派手な宣伝広告を行います。 開店時は、比較的予定していた開業資金に余剰資金がありますので、折込みチラシ、ポスティング、広告媒体への出稿等、まず商圏内に自店を認知してもらうことを目的に新規開店広告を躍起に行います。
しかしながら、お客様の視点に立ったときに、この方法は、必ずしも正しいとは言い切れないのです。 家族で休日、どこかに夕食を食べにいこうと決めたとします。
ポストを見ると、最近オープンしたばかりの感じのよさそうな飲食店のチラシがありました。
「今晩は、この店に行こうじゃないか!」
美しいチラシに家族一同期待に胸を膨らませて来店。でも実際お店に来てみると、食事もまあまあ、接客もまあまあ、すべてがまあまあ。
お世辞にも満足できるサービスでは無かった。あなたは、そういったお店に二回目来店したことがありますか?恐らく無いと思います。
そしてさらに恐ろしい所はここから始まるのです。 例えば、隣の奥さんが以前、自分たち家族で行ったお店のチラシをたまたま持っていたとします。
「そのお店、そんなにたいしたこと無かったのよ」とあなた、「あらそうなの?」と隣の奥さん。 そうすると隣の奥さんは、週末に行こうと思っていた予定を変えてしまいますよね。
これを、私は口コミのデフレスパイラルと読んでいます。せっかくオープンしたお店も悪い噂が広まってしまい、お店が再起不能になってしまうのです。では開店時には、どうすればそのような事態を避けることができたのでしょうか?
私がオススメしているのは、サイレントオープンというやり方です。お店をプレオープンしてから、約1ヶ月から3ヶ月の間は、あまり告知をしないで、出来る限り、友人知人やその紹介だけで、お店を運営します。
その間に、失敗を検証し、マニュアル改善しメニューを作りなおすなどして、一度来店してくれたお客様が、また来たい!と思ってもらえるようにする仕組みづくりをするべきなのです。一度掛け違えたボタンを直すのは大変です。
集客にも戦略=優先順位があるのです。知っていると知らないとでは大きな違いがありますね。 広告・販促ノウハウに頼る新規営業では、長期的な改善ができない。そして経営に順番があるということが見えてきたのです。
店舗経営の12ステップ
その後も、繁盛店を分析している中で、店舗経営を12のファクターに分けてその順番を決めました。それが下記に紹介する優先順位12ステップです。
優先順位12ステップ
- ⑫番 顧客単価の向上
- ⑪番 新規顧客の集客
- ⑩番 既存顧客をリピートさせる為の施策
- ⑨番 接客・サービス品質の向上
- ⑧番 スタッフ・組織のモチベーション管理と運営方法
- ⑦番 スタッフの採用業務
- ⑥番 財務管理
- ⑤番 事業計画の立案
- ④番 ブランディング施策立案
- ③番 経営理念の確立
- ②番 自店の徹底分析
- ①番 経営者の意識変革
以上です。この優先順位を見て意外に思う経営者の方もいらっしゃるかもしれませんので、あえて優先順位を逆に表記しました。
不況時の赤字店舗の経営者ほど陥りやすい失敗は、この順番を12番目から順番にやろうとしてしまうことにあります。
常識を疑う才能
売上を上げようと思うと、まず客単価を考え、新機集客し、その顧客をどう再購買させるかを考え、そうしているうちに、スタッフや営業マンの質を上げないといけない、そして儲かってから、財務経理を考えようとする。
そうすると、大抵儲からないまま、⑦~⑫を繰り返してしまいます。そういった店舗を沢山、私は見てきました。繁盛する店舗と繁盛しない店舗の違いは、①~⑥を最初に取り組んでいるかいないかによるのです。
ですから、儲かる前から、事前にやるべきことを順番通り進めていくことが、赤字から脱出する経営の第一歩であると言えるのです。
最後に、この不況時に真っ先に取り組むべき経営課題についてお伝えしたいと思います。
経営者の意識変革
不況時に売上が下がり利益が残らない状況になった場合、先ほど提示した優先順位12ステップのうちの①~⑥をもう一度見直しながら、資金をかけないでもできる施策を講ずる必要があります。
私は不況時における経営の最大の課題は、経営者自身が動いていないという点に集約されると考えています。
優先順位の中の一番は、「経営者の意識変革」です。スタッフを動かすのではなく、経営者自身が動く、そう覚悟を決めてください。
次に最もすぐ成果の上がりやすい施策が、「法人営業」と呼ばれている施策です。不況時にお金をかけずに、お店を蘇らせるためには、お店の中ではなく、外に出て自店に来てもらうための営業活動を行う必要があります。
しかしながら、お店の外での営業(街頭でのチラシ配布を含む)を、スタッフに押し付けているお店はろくな成果がでません。
経営者が自ら、率先して行うことにより、経営者のそういった背中をスタッフが見て初めてスタッフも頑張ろうという意識が沸くのです。
お店をよみがえらせるためには?
お店を蘇らせるための営業施策は大きく分けて二つあります。
① 商圏地域内の、他業種店舗への営業
② 商圏地域内の、法人(会社)への営業
まず、①についてですが、商圏地域内に、競合にはならないけど、顧客のターゲットが同じというようなお店があると思います。
自店が女性をターゲットにした美容室であれば、近所のクリーニング店や、女性向けの洋服店などは、ターゲットが同じですが、業態的に競合になることはありませんね。
そういった店舗に、自店のチラシや、紹介カードをおかせてもらえるよう交渉するのです。そのお店の販促物も、自店に置かせてもらう事を約束すれば、双方にとってメリットのある提案ができますよね。
法人営業は「坊主めくり」
結果、顧客を紹介しあうことになります。 次に②についてですが、これは、近所の会社や施設など人が集まっている場所への営業になります。飛び込み営業は、誰でも苦手意識がありますね。
これは、断られるのが怖い、嫌だという意識があるからだと思います。そもそも営業とは、説得しなければならないという意識を持っているのではないでしょうか?営業とは、お客様を説得することではありません。
お客様に、お店の情報を知ってもらう為にやるのです。いくら説得しても、来店しないお客様はしません。説得しなくても、来店してくれるお客様も必ずいます。
要は、坊主めくりと一緒です。より多くのカードをめくり、説得しなくても来店してくれるお客様(お姫様カード)を探すのです。
坊主をめくってしまったからといって、いちいち落ち込んでいては、より多くのお姫様を探すことはできませんね。
営業の本質は、数にあります、説得する必要はありません。お姫様を探すのみです。 近所に、自店のチラシ、紹介カードを持っていくのですが、知ってもらいたいことは、「営業」は、楽しい!ということです。
実際、法人営業で、その会社の人が来店してくれたときの喜びは格別です。坊主めくりゲームを、経営者はじめスタッフ全員で楽しんでください。
他にも不況を乗り切る経営アイデアは沢山あります。しかしながら知っているとやっているでは、大きな開きがありますね。
さいごに
繁盛しているお店は、経営者が行動を起こし、継続してそれをやっています。大変な経営課題も沢山あるでしょう。しかしながら、それを理由に行動をしない、もしくは途中でやめてしまえば、元の木阿弥。
まずは、自分の今までの常識を疑い、「何故こうなってしまったのだろう?」ではなくて、「どうすればうまくいくだろうか?」という問いをあなた自身にしてみるのです。
そして思いついた事はなんでもやってみてください。この未曾有の大不況の中、ある意味、これ以上悪くなることはありません。今こそ、なんでもチャレンジできる、変わることのできる最大のチャンスなのです。