突然ですが、あなたは自己肯定感が高いと思いますか?それとも低いでしょうか?自己肯定感は今や仕事の成果やプライベートの充実につながる、重要な要素の一つとして世界的にも注目されています。
自己肯定感は生まれつきのものだから、今更高めようがないのでは?
失敗してしまうと自己肯定感が大きく下がってしまう・・・
自己肯定感の高い子供を育てたい!
などなど、自己肯定感にまつわるイメージや期待など様々あると思います。
ただ、これまで日本では自己肯定感を高めるような教育に重きが置かれていなかったこともあり、世界と比較すると自己肯定感の高い人はそれほど多くないのが事実です。
では、自己肯定感とは何か?そしてどのように自己肯定感を高めることができるのか?自己肯定感の育て方を解説していきたいと思います。
私の自己肯定感は高い?低い?
<間違った自己肯定感>
自己肯定感と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
テストで高得点を取ったり、営業成績を達成したりした時のことでしょうか?
これは、他人との比較で高い評価を受けた時に感じるあなたの気持ちであり「外発的な報酬」と呼ばれるものです。
自分自身が一生懸命勉強した過程や営業成績を達成するために積み重ねた努力、苦労などから得られた達成感などの「内発的」なものとは異なるのです。
外発的な報酬は結果として得られたものではあるものの、それに依存してしまうことは非常に危険です。
実際に、高い収入を得るために努力をしている人は自己肯定感が低くなったり、うつや不安症状に悩まされたりすることが多いことが分かっています。
これは「外発的な報酬(=高収入)」を高めることにとらわれてしまい、本物の「自己肯定感」を高めることにはつながっていないからなのです。
<自己肯定感の理想像>
では、どのような自己肯定感が理想なのでしょうか?
「現実の自分をありがたく思う気持ち」です。
その気持ちを持つ為にも「自己受容」と「自己価値」という2つのコンセプトが重要になります。
自己受容とは、理想の自分ではなく、ポジティブな面もネガティブな面も全てひっくるめてありのままの自分をそのまま受け入れる力のこと。
自己受容ができると精神的に安定し、幸福感が高くなることが分かっています。
また、自己受容が高い人は病気や怪我の治療の効果も高く、体の回復スピードが速いという報告もされています。
続いて自己価値とは、現実の自分をありがたく思う気持ちで、失敗していることがあってもプラスの面に目を向けて自分の存在自体をありがたく思えることです。
仕事で失敗してしまったけど、また頑張ろうと思えている自分の精神的な強さはありがたい
といったケースです。
自己価値をきちんと感じることができている人は精神的に強く、ストレスへの耐性もついています。
さらに、学業や仕事においても好成績を残すことができると言われています。
ここで大事なのが、ナルシストとの違いです。自己価値が高い人≠ナルシストであることは理解しておきましょう。
自己価値の高さは自分が自分であることに価値を認めている一方、ナルシストは他人との比較において自分が優れていると感じるのです。
例えば、自分は背が高いからカッコ良い・・・背の高さは他人との比較においてしか分かりませんよね。
ナルシストの人は無意識に他人と自分を比較してしまっているのです。
そのため、ナルシストの人は他人との比較で自分が優れていると思ってしまうため、他者に対して優越的な態度を取ったり見下したりするようなことにもつながりかねず、人間関係の構築にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ヘマして凹んだ時
自己肯定感をくじいてしまう場面として、誰もが失敗などで凹んでしまうことがあるでしょう。
では、そのような時にどう気持ちを切り替えるのか?
<よくある2パターン>
①そのまま現実を受け入れて改善しようとする
⇛毎回失敗の現実を受け入れることができれば良いですが、現実的には難しいですよね。
②現実を歪めてでも自分の心を守ろうとする
⇛現実逃避の側面もあり、残念ながら成長は望めません。
<凹みの外側でカバーする>
これは「凹みの外側でカバーする」というやり方です。
あなたの気持ちがダメージを受けてしまった時、それは多面的な自分のたった”1つ”の顔への攻撃に過ぎません。
そこで、ダメージを受けていない”別の顔”で自己肯定をすることを推奨します。
例えば仕事で失敗してしまった時を想定してみましょう。
会社では落ち込んでしまうでしょうが、家に帰って家族に温かく迎えられ、いつもと変わらない日常を送れると
家族の一員として認められている、必要とされているのだ
と感じることができるのではないでしょうか。
会社とは異なる「家庭」という環境で自分のことを認めたり肯定できたりすれば、明日からもまた頑張ろうというエネルギーが湧いてきます。
当然翌日会社に行けば失敗してしまったことが元通りになっているわけではないでしょうが、家庭で自分の価値を肯定できたことで、心の安定につながり、失敗にも立ち向かう気持ちの切り替え準備ができているのです。
マイナス思考の改善法
マイナス思考に陥ってしまった時の脱却方法として、心の声を聞くことについて紹介します。
<自分の心の外から見つめ直すディスタンシング>
サッカーの元日本代表の本田圭佑選手が、ACミランに移籍する際に、加入を決めたことについて
「心の中のリトル・ホンダに聞きました。そうしたらミランでプレーしたいと答えた。それが決断した理由です」
と答えています。
これこそがまさに「自分の気持ちに距離を取って見つめ直す=ディスタンシング」という方法なのです。
では、具体的に4つのディスタンシング法を見ていきましょう。
①自分を呼ぶ
自分のことを客観的に見る視点を得るために、心の中で自分のことを「君」「あなた」「●●(名前)」のように、他人があなたに話しかけるように呼んでみましょう。
②友達に声をかけるように
現在の自分の状況を、あなたの友人が体験しているものと仮定しましょう。
その時、あなたはどのようなアドバイスをかけますか?他人にアドバイスする気持ちで、自分の心と話をしてみましょう。
③心のタイムトラベルをする
1ヶ月後や1年後といったように、少し時間が経った時を想像してみましょう。
1年後ならあなたはどのように感じているのでしょうか?その視点を持ちながら今の気持ちと対話してみましょう。
④壁の虫になる
壁に虫が止まっていても、あなたとは全く関係のないものですよね。
そのような利害関係も何もない存在=壁の虫になりきり、悩んでいるあなたを見つめ直した時、なぜ悩んでいると思うのかを考えてみましょう。
周りの目が気になる時
周りの目が気になる時の対処法について触れられています。
<利他的マインド>
ここで紹介されているのが「ソシオメーター」という概念です。ソシオ=社会、メーター=ものさしなので、社会性のものさしということになります。
そして、自己肯定感とは、自分が周りの人たちからどれほど受け入れられていると感じているかのものさしとも言えるのです。
利他的なマインドを持つことで、自己肯定感が高まることを説いています。
相手を利する優しい気持ちを持ち、相手に親切にできることでソシオメーターの値が上がり、自己肯定感につながるのです。
この時、実際に周囲から好かれているかどうかはソシオメーターが上がるか否かにそれほど影響を及ぼしていません。
なぜなら、利他的な行動を取ること自体が重要なのであり、利他的な行動を取ることで自分自身が周りにどう見られているかという不安な気持ちがいつの間にか消失しているのです。
そして、自分の気持ちのソシオメーターが上がることで、自己肯定感が高まっていきます。
自己肯定感とは
✖周りがあなたのことをどう思っているか
○周りがどう思っているかを自分がどう感じるか
ということなのです。
最後に
誰もが他者との関わりの中で生きていきます。
人生において他の人と自分を比べてしまい、他人を羨むようなことも少なからずあるでしょう。
しかし、与えられた一度きりの自分の人生をより良く生きるためにも、自分を受け入れ、自己肯定感を高く保てるようにすることが大切なのだと気付かされます。
自分自身と向き合いたい方、家族などの自己肯定感を高めるためのヒントを得たい方など、幅広い世代の方に知っていただきたい方法です。