顧客により多くの価値(満足感)を感じてもらうためには、価格を落とすか、言葉(ストーリー性)を明確に伝えていくか?この二つしかないということです。そしてこの言葉(ストーリー性)の無い会社が、価格を下げて、価格競争に巻き込まれないといけないのは何故でしょうか?
価値を顧客が算定する公式
もし、値下げしないといけない・・・という事が頭に想い浮かんだら、ぜひこの公式を思い出して、もう一度、よく考え直してみてください。
それでは、このストーリー性を打ち出すメリットと、その打ち出し方について説明していきたいと思います。
ストーリー=言葉
「楽しく、楽しんで、楽しませて、気取らないおもろい空間」をコンセプトにした焼き鳥居酒屋があります。
そこの店主は、20代前半で実は引きこもりになり、うつ状態。そこから脱出するきっかけは、近所の焼き鳥居酒屋の店長でした。
ずっと話を聞いてもらううちに、少しずつ癒されもう一度社会復帰を決意したそうです。そして居酒屋で修行を始め5年後、独立し、現在は1年に1店舗、増店されています。
そのときの恩返しのために、少しでも引きこもりやウツ、強いては自殺まで悩んで苦しんでいる若者の力になりたい、少しでも多くの若者を救いたい!という志のもと経営されています。
こういった、想いに賛同してくれる、スタッフを始め、お客さんは、隣の焼き鳥屋がいくらこのお店よりも安く商品を提供していても、きっとこのお店から離れたりはしないでしょう。
さらに、こういったお店は、口コミや紹介が発生します。ついつい家族や友人に話したくなるのです。そうなれば、価格を下げる必要も無いばかりか、販促費用をかけずに、集客ができるので、売上も利益率も非常に良い状態となるのです。
人=その人の魅力
他にも、このようなお店があります。最近、経営のお手伝いをさせて頂いている、新潟のとある美容室では、トヨタショックを皮切りに、付近工場の従業員の方がいなくなり、客数が落ちてしまって、やむなくサービスの値下げをして、なんとか経営を維持していました。
ただしその女性オーナーを始め、従業員のモチベーションも落ちてしまい、満足の行くサービスも提供できなくなっていました。
「お客様にキレイを提供して、イキイキと生きてほしい」という理念を持っているこの美容室では、まず、その理念の通りに満足のいくサービスを提供するために、プライスをもとに戻す、さらに値上げするということを目標に置きます。
まずは、美容師の比較的、暇な時間帯に、アロマと美容の教室を開きました。対象は、もちろんお客様、講師は、オーナーです。この時点でまず、美容師から先生という風にお客様から見られるようになります。
そして美容や、髪のケアの方法などについて、ブログや、メールマガジンや、毎月発行するお店の新聞を通じて、情報発信を頻繁に心がけるようにしました。
そうしていくうちに、あのお店には、顧客の事をここまで考えてくれている先生がいる。と言った形で口コミが広がり、少々の値上げも関係なく売上がV字回復し、今も、自信を持って提供しているサービスに見合う対価をお客様から頂いています。
値下げするまえに
この2社に共通していえることは、まず何のために経営をしているのか?理念を明確にして、その理念に忠実にサービスを提供し、そしてそこに発生するストーリーや想いを、顧客に伝えつづけることによって、他社との比較ではなく、お客様がその会社やお店のファンとなり結果、価格競争をする必要も無く、口コミで集客ができるようになるのです。
このように、値下げする前にまず、この公式
価値(顧客が感じる価値)=言葉(ストーリー性)/価格
を想いだして、顧客が少々の価格の差を気にしないほどのストーリー性を発揮して、不景気の中でも、経営をプラスの方向へと転換することが、経営者の役割ではないでしょうか?