6月15日に寝具で有名な西川産業様で、顧客とのコミュニケーションについてお話をさせていただきます。全国の百貨店の現場からマネージャーが全国から集まります。改めて販促ってなんなのか?考えていきたいと思います。
売り込み禁止の発令
販促の最大の目的とは一体何か?それは顧客との信頼関係の醸成ではないかと思います。決して売り込むことではなく、ザイアンスの法則でもあるように、単純接触回数を増やすことは、顧客に良い印象をもってもらうためのひとつの手法です。
その信頼関係を醸成するために、まずは良い認識をもってもらう事が目的にもかかわらず、顧客の心理を無視した売り込みが多く発生してしまっていることが、残念でたまりません。
売り込みの効果がある時代とは、金余りの時代で、お願いすれば、仕方無いな〜と買ってもいいと思われていた時代です。
今は、やはり顧客のニーズがあるときにしか、どれだけ懇願しても購入することはありません。
ですので、売り込みをすると、帰って嫌がられる、避けられるという現象が起こります。
売り込みとは経営目線のこと
文章にしていて分かるのですが、顧客視点に立てば、当たり前すぎるほど当たり前のことですね。
しかしながら、多くの店舗が売り込みをかけてしまうのは、やはり、顧客目線ではなく店舗目線になってしまっているからなのだと思います。
よく失客の一番の理由は「忘れられてしまうこと」とお話していますが、第二位は恐らく、必要以上の売り込みをかけられてしまったことではないかと想定しています。
この2点を踏まえれば、販促については、とにかく忘れさせないため、または、顧客にとってニーズが発生した時に、一番に、自分達のことを思い出して貰うこと、選択肢に登ることだということがわかります。
そこで、顧客へのメリットを感じさせる販促というのはいかんせん、売り込みになるケースが多くあります。
- キャンペーン
- 新商品案内
- 展示会
- 割引施策
- クーポン
上記の施策は、信頼関係が醸成されていない状態では、単なる売り込みでしかありません。
ありがとうのあとの売り込みはもっと最悪
まず、店舗側が伝えないといけないことは、自分達が存続するのは顧客のおかげであるということを認識した上での感謝ではないでしょうか?
良く見る「ありがとうハガキ」は、ありがとうのあとに、感謝の意をこめて、この期間割引キャンペーンをやってます!と。
ありがとうの意を込めて割り引き・・・っていままでは何だったの?とちょっと不信感が生まれます。私がひねくれているせいもありますが、ドミノピザの、テイクアウトならもう一枚プレゼントって、いままでの価格ってなんだったの?って。
まあ、宅配がどれだけ人件費がかかるか世の中に認識された良い事例なのですが。やはりなんだそりゃ感が否めないのです。
お店の応援団
販促と言う言葉を、顧客コミュニケーションという言葉に置き換えた場合、その目的は、信頼関係の醸成、さらに顧客との信頼関係を醸成することの最大の目的は、「お店のファン」になってもらうことです。
つまり、ファンとは、応援団のことですね。
- お店が満席で入れなかったとき、応援団は、「よかったね!こんだけ繁盛していて!」と自分の事のように喜んでくれます。
- 友人知人が、お店選びに困っていたら、自分のお店のごとく、猛プッシュで私達のことを紹介してくれます。
- クレームがあったときなど、率先してクレームを伝えてくれます。もっと良いお店になってほしいという想いを込めて。
泣けてきますね。いやほんとに。そういう顧客の思いに応えていきたいと切磋琢磨、競合店ではなく、お店のファンとともに切磋琢磨成長していくのが健全な店舗運営です。
理屈ではなく共感を意識する
供給過多の現在、お店選びは理屈では行われていません。もう少し簡単にいうと、理屈ではなく、人は感情で行動します。
そしてお店選びのもっともたる感情部分は、「共感できるかできないか」です。
共感し、応援したくなる、どうせ何かを買うならこのお店で買いたい!お金は投票権です。AKB総選挙などを見ていて思うのですが、これはかなりクレイジーなように見えて、実は昔からある市場原理の応用です。
実際、100枚も同じCDいらない・・・。
見返りもさほど期待していない(妄想・欲求はありますが、本当にその妄想が現実化するとは思っていない)。
でもなんとなく推しメンに頑張って欲しい。自分も勇気づけられている。それ以上は、投票したことのない私自身にはなかなか想像できないのですがつまり、ファンになってもらうってそういうことです。
そんな顧客に、売り込みしてもしょうがないですよね。結局俺のことを金で見ているんだなと思われちゃう。
AKB総選挙でも夜のお仕事でもなんやかんや結局、応援したくなるかどうか?がランキング上位と下位をわかるポイントではないかなと。
- 私達はこういう目的のために経営をしています!
- 私達はこういう風に顧客に価値を提供していきたいと思います!
- 私達はこんな感じで社会に貢献していきたいと思います!
なぜなら、こんな想いをしてきたから。こんな辛い思いがあったから。こんな素晴らしい世界が実現できればいいなと思ったから。喜んで貰うことが楽しくて仕方無いから。
なんでも理由はいいのですが、とにかく自分達のお店が存在している理由について、さらにその背景について、しっかりとお伝えしていくことにより、
- どうせ購入するんだったらあのお店で購入したい。
- 自分も同じように思うから、ぜひあのお店にはがんばってもらいたい。
顧客とのコミュニケーションの起点は、サービスで喜んで貰うことはもちろん、さらに自分達を応援してもらえるように、そこから始まります。
経営努力とは、想いを伝えていくこと
経営努力とは、そういうことです。だから理念が大事。ということをひたすらお伝えしてきました。
我々が顧客の立場にたって物事を考えればとてもシンプルなことを、経営の立場にたってしまうといきなり忘れてしまいます。
まずは感謝、その次が目的、そして信頼関係の醸成のためのリレーションシップです。
ブログもフェイスブックもツイッターもありがとうハガキもすべて、売上をあげるためではなく、お客様との関係性づくりです。
コンサルタントとしては理屈や理論で勝負しないといけないのですが、それはすべて想いがあっての手段でしかありません。
想いを顧客につたえること、その手段が販促です。販売促進ではなく、共感促進ですね。
マーケットを考えて見ても・・・
もちろん全ての人に共感してもらうことは難しいですが、10人に1人でも共感してもらうことができれば、中小企業は繁盛します。市場(マーケット)の一割取りに行けるのなら万々歳。
ジョブスも同じ事を考えたと思います。大企業でも取り組み方が180度変わってきました。市場のすべてに気に入られようというのでは、イノベーションが起こらないということでしたね。
世の中にある顧客分析方法はやまほどありますが、その情報を知恵に変えるためには、想いが全てで扉を開ける鍵となります。
感情的な見解ですが、世の中の行動原理が感情が動く(感動)ことだということが判明してきたので、スタートは「想い」というさらには「共感」というキーワードに着目せざるを得ません。
一人でも多くの顧客にあなたの想いが伝わりますように。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。