先日、10年来の友人である、林真人さんが、考案し研修主催している「ダイナミズム」というゲーム研修に参加してきました。 詳しくは、いい会社づくり体験ゲーム【ダイナミズム】をクリック!
とりあえず、感情論抜きで分析してみた
けっこういろんなところで、このゲーム研修開催されています。 誰かが考えたゲームではなく、本人が考案して、本人がファシリテーターをしているゲーム研修は珍しいですね。
2回このゲームを受講させていただいて、覚醒した私は、あることに挑戦したくなりました。
参加者全員が優勝ラインに乗ることを目的としてゲームをプレイしてみる
このゲームを受講したことが無い方はルールも何も知らないと思います。にもかかわらず、今回はルールを説明するのは省きまして、受講された方のみが分かるカタチとはなりますが、攻略分析をしていきたいと思います。
まず現実の世界でもゲームの世界でもあり得ないのですが、各業界に1社ずつ、このゲームは業界が5つあるので、5社が相まみえる村での【ダイナミズム】また基本ルールのみでまずは最小単位の分析をかましていきたいと思います。
(前提ルール説明の画像)
優勝ラインにのるためには条件がある
まずは、このゲーム優勝ラインへ乗るためには、
- 最初の金額(原資)を5年で倍にすること
- 5年間、終了時までに3名の雇用を実現すること
- 他業種と協力しあうこと
上記3点が必要であるということがルールに明記されている。
最後の主催者(林くん)の言葉で気になった言葉が2点、
- 市場からこちらにどれだけお金をこちらに移してくるか?
- 全員で優勝ラインに乗ろうと勝手に目標を作ってくる参加者もいる
上記の言葉から、参加者全員が優勝ラインに乗る方法を考えてみた。
ちなみに、今回は、17名参加中7名が優勝ラインに乗ることができました。全員優勝の可能性はあるよね。実社会のビジネスもゼロサムゲームではない可能性を示唆できれば本望です。
できるだけ、市場に高い価値で販売して仕入れはユーザー間で行う
そこでとりあえず、より多くのお金を市場から運んでくるためには、
- 付加価値をつけて商品を最も高く市場に売ることのできるレジャー・サービス業
- 市場に原価の倍の値段で販売できる小売業
- 仕入れやすく利益幅が実はかなりある飲食業
この3社のみ市場に販売するということを基本として、その他の業種に関しては市場をできるかぎり利用せず、プレイヤー間の取引で済ますことができないか?そのためにはどうすれば良いか?
すべての業種で協力しあうにはどうすればいいか?各業種毎に数値分析してみた。
農業・畜産業
まずは、農業畜産業で作成した野菜・肉に関しては、すべて飲食業と専業契約を結び、すべて買取をお願いする。 飲食業の現金が足りない場合は売掛でも作物は全て回収してもらう。
飲食業が商品化して現金を回収した後、税金を払うまえに、売掛金を回収する。
2年目からは製造業に機械を製造してもらい、その購入代金230Hを製造業に先付けする。農家は種(仕入)が安いので、キャッシュが残りやすい。
翌年から4年目まで同じ具合で製造依頼をして、4年目で機械3台・雇用3名を実現。大規模農家が5年目に完成する。
数字でみるとこんな感じ。内部留保2910H。下の表は小さくて見えにくいと思うので、こちら(PDF)から参照して下さい。
製造業
製造業は、農業畜産業が必要とする機械を2年目から4年目まで製造、230H/1台で全額前金で製造し販売することを約束する。そのキャッシュで市場から原材料の仕入れを行う。
3年目、4年目は、飲食店の機械も製造し230Hで販売する。
1年目からサービス業に対して、歯車とPCのセット商品を100Hで販売、2年目は2セット、3年目は3セット、最終的に5年目に5セット販売する(一部、売掛になる)。残った商品は市場に販売。
製造業の肝は4年目にある。それまでは市場に売る量はさほどのものではないので、人を雇う必要はない。とういうことに気づき、さらにルール説明の際、販売数には限りがあるが、機械製造数に限りあるということは言及されなかったので、4年目に一気に、5台製造。
農畜、飲食業に機械を販売したあと、3台のこる機械に関しては自社で使用。一気に3名を4年目に雇用する。
数字にするとこんな感じでした。下の表は小さくて見えにくいと思うので、こちら(PDF)から参照して下さい。
飲食業
次に、飲食業において。私の分析では飲食業が最強に儲かる。各業種一社ずつという限定条件下ではあるが。もし、業種各社のバランスが崩れた場合は、飲食業が活躍するのではないか?と想定される。
飲食業の仕入れは基本的に、農家からの仕入れ。キャッシュが無くても信用取引、がんがん商品を販売して現金商売を活かして、後に支払い。専業契約農家との信頼関係を構築していく。
2年目は機械を市場から250Hで購入。3年目からは、製造業より機械を230Hで買取。4年目も同じく、機械投資と同じタイミングで雇用を実践、4年目には3名の雇用が実現される。
製造業とおなじく、サービス・レジャー業にたいして毎年、1セット、2セット、3セット・・・5年目は5セット、肉野菜セットを1セット100Hで販売していく。
市場に売れるだけ売ったあと、4年目には、小売業にも肉肉セットを100Hで販売。
数字でみるとこんな感じ。下の表は小さくて見えにくいと思うので、こちら(PDF)から参照して下さい。
全業種中一番、内部留保が残りました(4710H)。(ゲームバランス上、こんなにキャッシュが残ることはないかもしれないので、私がルールを聞き間違えている可能性あり)
小売業
小売業は、レジャー・サービス業に販売する服セット以外はすべて市場に販売を基本とする。
市場に販売するだけでも利益率50%ある。サービス業には、飲食・製造業と同じセット数を供給。服セット/50Hで販売。
レジャーサービス業は、コツコツ。4年目に一気に建物を3つ借りて、3名を雇用。市場への販売数を一気に伸ばしたタイミングで、飲食業から肉肉セットを買い取る。
飲食業に対して4年目のみ、買掛で購入するが飲食業は儲かっているので、問題なし。ここも信頼関係があってからこその取引である。
小売業は、に肉肉セットを、100Hで飲食業から仕入れて市場に150Hで販売可能。なかなか1セットあたりの利益がでかい。市場へのセット販売数に制限があるルールなので、この1セットあたりの、利益率ではなく利益そのものがありがたい。
小売業とサービス業は、設備投資などのイニシャル費用ではなく、毎月かかる家賃、つまり固定費なので、5年目以降まだまだ続くリアルな経営ではかなり考える必要があるが、ゲームとしては5年で終了なので、このタイミングで建物を借りることになるわけです。
数字でみるとこんな感じ。下の表は小さくて見えにくいと思うので、こちら(PDF)から参照して下さい。
レジャー・サービス業
レジャー・サービス業は、さらにシンプル。付加価値セットのみを市場に販売することで、成り立つ商売。
基本、お金が足りない分は、買掛で各、飲食、製造、小売りから購入1セット250Hで仕入れることができる。毎年1セットずつ販売量を増やしていく。
1セットが6個の商品のセットなので、販売力は付加価値セット1につき、3つ分消費する。
2セット販売する時点で、建物をかり、人を一人雇用する必要あり。4セット目から4年目ということもあり、一気に3人に雇い、5年目付加価値サービスを5セット販売し、ここで終了。
数字でみるとこんな感じ。下の表は小さくて見えにくいと思うので、こちら(PDF)から参照して下さい。
この通りできれば、全体で10050Hもの内部留保が生まれたりなんかして
結局、ビジネスの肝は、信用。
買掛・売掛とは、モノだけが動き、お金はあとから払う、受け取る。
究極、最後は、市場に最も高い価値で販売したサービス業のキャッシュが、税金や経費を精算する前にその他業種に順番に支払われれば何も問題ないのである。
しかしながら、そこが「信用」という魔物の話で、理屈ではなく感情論が左右する、行動経済学などで解析されつつあるが、最後の最後はやはり解析不能となることが予想される、人間の不可思議なところだと思う。
一度でも裏切りが発生するとそれを踏まえてリスクヘッジしなくてはいけなくなり、裏切りの連鎖が発生してしまう。
すべての会社が勝つことができるのにも関わらず、自分だけのことを考えると、絶対に富の分配は行われない。
というのが現実かも知れない。
ここからは、後日さらにブラッシュアップしていきます。
てなわけで、5業種各1社のみ参戦の場合は、組合を作り、農工商連携で、全業種の優勝が可能となることが分かった。
またルールに反し、一切の協力を行わなかった場合は、製造業と飲食業(ともに原料を加工し付加価値を提供できる)業種のみがボロ勝ちとなる感じとなりそう。
サービス業と小売業は、少なくとも異業種との連携が必要。
農家はそもそも、自家生産・自家消費で、優勝も何も、ビジネスのラインに乗ることなんて考えなければ、それはそれで幸せかもしれない、と思う。
製造業と飲食業に活躍を期待。穴馬に小売業???
そこでこの業種が入り乱れる場合で、同数が必ずあれば、このミニマムモデルを複数つくればいいのだが、 農業畜産業2社、飲食業が3社、製造業が4社、レジャーサービス業が3社、小売業が2社など、各業種に会社数のばらつきが出た場合は、どうあるべきなのか?
恐らく何も協力しあわなかった際でも確実に大もうけできるであろう、製造業と飲食業の数とその他業種の数を比較し、できるだけ、この2社に市場との取引を活発に行ってもらう必要がある。
理屈で解決するならコンサルはますますいらない
上記事例の場合、ミニマムモデルが2セット作れるので、あぶれた、飲食業1社、製造業2社、レジャーサービス業1社で、レジャーサービス業が収益を上げていけるように協力する必要がる。
またその他飲食業や製造業があぶれなかった場合は、ミニマムセットの製造業、飲食業からの協力で、早めに雇用を行うなどの施策により、余力を作成しなければならない。
実際にすべてのパターンに対して後日考えたいところであるが、全員優勝ラインというハードルは、恐らく理屈では比較的簡単に可能ではないか?
しかしながら、時間制限による迅速な市場や他社との交渉・取引が必要で、全員が同じ思想になっていない限りリアルなゲームでは不可能に近い。
実際のコンサルの現場でも、答えがある程度計算で見えていたとしても、そこには人の感情が介在するので、計算通りにいかないし、いけばまったく苦労はない。
逆にいうと計算や理屈だけで思い通りになるのであれば、コンサルタントという仕事はいらないのかもしれない。
最後に
今回参加したゲームは、たまたま隣に座った方がSEだったということで、理屈勝負で、お互い詳しく話あいしなくても、私が農家、隣の方が飲食業ということで、 どういう風にタッグを組めばいいのか以心伝心で伝わっていたことは、いまとなっては、奇跡に近いことだと思う。
前々回参加時は、優勝ラインに乗ったが、恒例の参加者からの優勝社投票で選ばれず、しかしながら優勝者からご指名いただき、もうひとりの優勝者としてAMAZON商品券3000円を頂いた。
今回は、優勝ラインにのり優勝者として指名いただけたので優勝することができ、私の指名はもちろん隣の飲食業の方になった。
(ちなみに今回の賞品はアルミのコマだった)
3回目は、ぜひこの全員優勝ラインに乗るという目標に向けて戦略を考えて行きたいと思う。
引き続き、主催者の林さんの考案した壮大なゲームの考え方や、何を伝えたいのか?に対して答えを出せるよう挑戦していきたいと思う。