【コンサル】「ちゃんとお店の運営はできているか?今日の数字は?」




これは、私のクライアントから聞いた本人の本当の話です。すごいお店のオーナーに出会ったなと、当時感動しました。経営者の仕事は、現場2割、戦略立案8割の仕事配分にしなければならないということを、背中で教えていただきました。極端な言い方ですが、なかなか現場から抜けることのできない経営者は、一度病気になるとよくわかります。

タケダオーナー

病院から毎日のように電話をかけているのは、理容室を3店舗経営している竹田オーナー。

自分で現場に立ち、数字の管理から、組織運営、販促まで、すべて自分でやらないと気が済まない。

独立してからの、この10年はほとんど休みも無く、一時期は、5店舗まで店舗を増やすことができましたが、今は、スタッフの定着率が悪く、売上を維持できなかったため、2店舗は閉めることになりました。

やはり、自分以外の人間を信じることができないと、竹田オーナーは、さらに手を休めることなく、働き続けます。

その無理が祟ってか、過労で倒れ即入院。検査してもらうと内臓は、ボロボロ常態

2か月以上は入院休養を勧告されてしまいました。

現場を抜け出せない経営者の共通点

それでも、自分がいないと経営が、成り立たないと不安な竹田オーナーは、毎日数回、こうして、各店のマネージャーに電話をかけて状況確認や、業務指示をし続けていました。

そんなある日、いつものように、店舗マネージャーに状況確認の電話をかけた際、マネージャーから泣き声半分で、

もういい加減にしてください、お店の事は僕たちに任せて下さい。オーナーはとにかく今は、仕事から離れて体をしっかり治してください。僕たちを信じて下さい!

そうマネージャーから本気の本音を伝えられます。

オーナーはその時初めて自分が、今までスタッフの事を信じていなかったということに気付きました。

信頼できないのはスタッフではなく、自分自身だったと。

自分が信じていないのに、スタッフが信じてくれる訳がない。

スタッフ中心のマネジメント

それ以来、竹田オーナーは病院から電話を各店にすることをやめました。お店の方は、現場を任された店長はじめスタッフのみんなが、経営者の分もがんばろうと一大奮起し、なんと売上は、過去最高の売上を各店すべて記録するに至りました。

退院したからお店に戻ったオーナーは以前のような、ワンマン経営を改めて、スタッフ中心のマネジメント方式に切り替えていきました。

店長が責任を持ち、判断を行い、そのお店に働くスタッフのやる気をひきだす、そんな経営方法に何度も試行錯誤しながらチャレンジし、スタッフともに実践してきました。

ターニングポイント

売上は以前の倍以上となり、スタッフの離職率も減り、順調にお店を運営していた矢先、あの阪神大震災が起こります。

お店は、3店舗ともすべて倒壊。その後の運営を続行することは不可能でした。

竹田オーナーは、自分のお店の心配よりも、まず働いてくれていたスタッフの再就職先を探しだしました。

そして遂にスタッフ全員の再就職先を斡旋することになりました。

最後に、自身の進退整理を行い、それから7年の月日が経ちました。

そして、もう一度、自分のお店を開店することになりました。震災後きれいに復興した小さな町の15坪程度の小さなお店です。

その噂を聞きつけ、以前お店で働いていたスタッフが、ほぼ全員、竹田オーナーのお店に戻ってきました

離職率、奇跡の0%

それからスタッフの離職率は、なんと0%

順調にその町を中心にドミナントで店舗を増やし、低迷している理容業界の中で、今一番成功している理容室の一つに数えられるまでになりました。

経営者となった時点で、サラリーマンの時とは比べ物にならないほどの、責任と悩みが生まれます。

その一つ一つが、未来の糧になると信じて、逃げずに取り組む姿勢を忘れてはいけません。これは、手法とか技術とか、ノウハウとかの類ではなく、本質論的な話です。

くじけそうになること、心が折れそうになること、本当に様々な事が起こります。

その中で、経営者は、どれだけ未来を信じることができるか?そして、その課題をどう未来に活かすことができるか?その視点を忘れず、課題解決に取り組んでいってほしいと思います。

さいごに

よくある成功者へのインタビューで、

成功した一番のターニングポイントは?

という質問をしたところ、一番多かった回答は、

失敗と挫折を機に、今がある。その出来事が無ければ、今の自分はない

ということだそうです。

失敗や悩みは尽きませんが、人間万事塞翁が馬です。マイナスをプラスのエネルギーに変える力が、経営力の中で、欠かせないひとつですね。

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