元野村総研の現タブレットジャパン前田稔さんとお会いして、沢山お話をさせていただきました。「O2Oマーケティング」に精通していて、店舗経営者には避けて通れない、貴重なお話と前田さんのレポート記事からのご紹介です。
まずは、前田氏のレポートの要約です。
O2Oとは Online to Offline(オンライン・トゥー・オフライン)のことである。「オフライン」 とは店頭での接客、「オンライン」とはネットを活用した接客を意味する。
スマートフォンの出 現によりこの 2つは急速に接近、融合し、今ではその境がなくなってきている。
これにより、店舗での接客状態がそのまま連続して店舗外、途中の道、顧客の家までも、と、いつでも、どこでも顧客とつながっていることができる。
すでにリアルの小売店業はネットとは無関係と言ってはいられない状況となっている。多くの消費者側はすでにO2Oソリューションを使いこなしているからである。
店舗側が「今」これに乗り遅れることは、死活問題になると言っても過言ではないであろう。
「オフライン」とは「フェイス・トゥ・フ ェイス」、実際の店頭での接客を、「オンライ ン」とはネットを活用した接客を意味するそうです。
従来のオンラインサービスの代表格はネット通販で、いままでは、その環境は大概家の中だったんですね。
しかしスマートフォンが普及してからというと、GPS 機能などの普及により、今まで、特定することが難しかった、場所、 時間、相手を完全に把握することができるようになりました。
「いつか、どこかで、誰かに」から「今だけ、ここだけ、あなただけ」と特定できるようになり、
- 「今、売りたい在庫があるとき」
- 「お店から歩ける距離にいる人」
- 「有る特定の顧客」
に対してメッセージを送ることができるようになりました。
O2O サービスの例
前田氏から教えてもらった事例としては、
- ネットで注文、受取は店舗で帰りに受け取ることができる。あるいは配送も依頼 することが出来る。
- ネットで注文するだけではなく、その場 で決済まで完了。品物をお店で受け取る。 あるいはサービスを受ける。
- 生鮮物で今日中に売ってしまいたいもの がある。品質的には問題はない。値引き 情報をプッシュ情報で特定の顧客へ通知。
- クーポンを興味のありそうな人に特定して配布、来店させる。
- お店に来てチェックインすればポイント が貯まる。
- ネットで予約してもらう。
今までは、店舗内だけで行われて世界が今後、無限に広がっていくことになります。 例えば、品物の購入、決済は本来店舗でしか行われなかったことですが、O2Oの世界では、店舗外でも十分に行われています。
過去の新規集客方法は?
ここからが大事なのですが、これらの行動情報はすべて吸い上げられ「個人属性情報」「店舗情報」「商品情報」として記録されていきます。
このデータを元に、「いつ」「どこで」「誰に」「何を」を、特定してはじめて店舗側から、働きかけが出来るわけですね。
集客方法については過去、ビラを配る、折込広告が通常の方法でした。
また、クーポンを付けたりの工夫もされてきました。お客様に誰か紹介してもらう、看板を出す、店の前で呼び込みをするというのもよく行われますね。
リピーター創出のためには?
次に、顧客の再来店を促すにはどうしていたか? 手紙やはがきを出す、電話をかけるというのが通常のプロセス。
しかし会員登録でもしてもらわないことにはここまでの情報を得ることはできませんでした。よく見かけるけど誰だかわからない人には店舗外で再来店を促すことは不可能なんですよね。
スタンプカードを使ったりして、ロイヤリティの高い人を確保する手法もありましたが、本音を言えば、最近来ていない人にアプローチしたいと思っても、なかなかそれが難しい。
オンライン店舗戦略は?
オンライン店舗は、 「ネットで売買させるだけ」の仕組みでしたが、マーケティング技術が加わることにより、顧客の動向を記録しアプローチする方法がたくさん開発されました。
最初は、その人が購入したものの記録から始まりましたが、そこから、
- カートに入れたもの
- 一度見たもの
など も詳細に記録され、その人の嗜好からその人におすすめのアイテムが表示されるようになりました。
例えば、オンライン店舗の表示内容は。実はすべての人に対して同じというわけではなく なっているそうです。
その人の嗜好にあわせて変化すし、よく来るメールなどもそのように工夫されています。
O2Oが普及すると、勝手にそのお店に来店した記録が残り、クーポンを利用すればその実際の利用状況までが記録されていくことになります。
この記録を活用すれば、オンラインでしかできなかったことが、オフラインでも可能になるという寸法です。
今後の店舗戦略
今後の店舗戦略の世界では、どのように変わっていくのでしょうか?前田氏に伺ったお話をそのまま、下記あげてみます。
- 今、お店が空いているから通知する。
- 生鮮物が傷んで捨てる前に、タイムセールスでお知らせする。 これはお店側の状況にしたがって送るメッセージである。
- 買い物をしてくれた顧客にフォローアップのメッセージを送る。
- 記念日にメッセージを送る
- 2 ヶ月以上来店されていない顧客にメッセージを送る。
- お店の半径 300m範囲(歩いてすぐ来れる距離)にいる人に対して、特典が受けられるメッセージを送る。
- 利用者が、今自分が行けるお店を検索することが出来る。
- 店舗のあるエリアにはいると、お得なクーポンが届く。
- 商品に近づくだけでその商品情報を簡単に得られる。
すべての行為が店舗内外において簡単に行うことができるようになります。そして、もうすでにあなたは顧客として、このような体験をしているわけなんです。
さいごに
- 「世の中は進んできているのはわかるが、まだ自分のところが実行するには早い」
- 「そこまで店舗側が準備できるような段階ではない」
と考えて居る方もたくさんいることでしょう。でもよく考えてみたら、私達経営者よりも、消費者の方がもっとO2Oについて詳しくその利便性を体験しているんですよね。
でも「ネットはネット」と考えてきたものが、すでにリアルの店舗戦略に関わってきているということです。
近未来のお話ではなく、既に現実のものとして実行され広まってきているものであるということを自覚する必要がある。
と、前田氏は言います。
つまり、既に始まっていて、顧客行動という名の外堀は確実に埋められているわけです。その意味では、 今こそ「今だけ、ここだけ、あなただけ」への実現について真剣に取り組むべきタイミングだと思います。
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