私は20歳の時に、引きこもりを経験しました。18歳から社会に出たものの、人とのコミュニケーションが全くうまく取れずに、問題ばかり発生して、最終的には、出社拒否で退社。あれから16年、私がコミュニケーションについて気をつけているポイントをご紹介します。
会話力と利益は、比例する
「うちのスタッフは、意識が低くて参ってしまうよ・・・なんでもっと自分の頭で考えようとしないんだろうか・・・」
「社長、それはおそらく、普段の社長の言動が原因ですよ」
飲食店を6店舗経営している原田オーナーは、経営歴20年のベテラン経営者。しかしながら、どうしても6店舗以上お店が増えると、マネジメントの目が行き届かなくなってしまい、潰れてしまうという事を繰り返してきました。
「私の言動が原因っていうのはどういうことですか?」
「普段から何かにつけて、原田社長は、自分の意見を押し付けすぎです。社長だから、ある程度の方向性を指し示す必要はありますが、昔と違い、頑張れ!と言っても頑張り方が分からない人が多いのです」
「一緒に方法を考えているつもりなんですが・・・」
「もともと、目標についても、社長が勝手に決めている事で、スタッフが本当に目指したいと思っている目標でなければ頑張るわけがありません。方法ももちろんですが、目標自身も、スタッフと一緒に考える必要があるのではないでしょうか?」
「私は、彼らの為にと思って、色々と考え、今まで経営してきたつもりだが、確かに、彼ら自身の夢や目標のようなものを聞こうとはしなかった」
「人は押し付けられた目標に対して一所懸命働こうとは思えないもの。自分たちで決めた目標であれば、きっとみんな真剣に考えて行動してくれるようになるはずです」
「よし!早速今からミーティングをして、皆の意見を存分に聞いてみようじゃないか?」
3つの会話力
繁盛しているお店の店長は、本当にコミュニケーションを取るのが上手い、そう感じます。お客様に対して、従業員に対して、出入り業者さんに対して、仲間に対して、明るくコミュニケーションが取れる経営者は、人脈の輪が広がっていきます。
しかしながら、コミュニケーションの取り方というのは、学校で習うわけではありません。その人間の資質などに左右され、自然と明るい人、思慮深い人、冷静な人、情熱的な人などそれぞれ性格に応じて、コミュニケーションの取り方は、千差万別ですね。
そこで、コミュニケーションの中でも、会話力ということで、身につけるべき会話力の基本についてお伝えします。
会話力も大きく分けて3つの目的があります。
- 従業員の能力を引き出すための会話力
- 組織の潤滑油となるための会話力
- 新しいアイデアを生むための会話力
従業員の能力を引き出すための会話力
まず、従業員の能力を引き出すための会話力。これは、従来の命令型のマネジメントではなく、彼ら自身が自ら気付き、行動を起こす、そして責任を持つために、どのような会話を、従業員と行っていくべきかについて考える必要があります。
組織の潤滑油となるための会話力
二つ目に、組織の潤滑油となるための会話力。これは、私自身がコンサルタントをしていてよく感じることですが、経営者と、従業員の間には、微妙な壁が存在します。
それは、立場の違いによるコミュニケーションのずれ。
経営者からすると、面と向かって話をすると、腹が立って、まともに話ができない。
今優しい言葉をかけると図に乗るのではないか?
従業員からすると、経営者の言っていることには、間違っていると感じても口答えできない。
くちごたえしなければ、早く話も終わって帰れる・・・
など。思いのほか、ストレートに組織の中でコミュニケーションを取ることは難しいものです。
そこで、外部からコンサルタントが第三者として入ることによって、相互の関係の中で潤滑油となる役割を担います。
「社長は、日頃ああ言っているけど、実はスタッフ全員の事、いつも自慢しているよ」
「彼は、表向き冷めているような態度を取りますが、実は、凄く熱い人間です」
経営者の本当の気持ちを、従業員に伝え、経営者が気付いていない従業員の気持ちを経営者に伝える。面と向かって言えないことを、そういった形で第三者が伝えることによって、本人も受け入れやすくなります。
しかしながら、繁盛しているお店の経営者は、最初から、このコミュニケーションの潤滑油になることがとてもうまい。やはり出来る繁盛店主としては、コンサルタントに頼る必要も無く、従業員との壁を作ることも無く、うまくチームのリーダーとして溶け込みます。
経営者は、お店の責任者であり、そこには非常に重たい責任が、のしかかります。従業員を養っていかないといけないという想いから、どうしてもきつく従業員に当たってしまうこともある。
期待が大きいがゆえに、その期待を裏切られたと感じた時も非常に苦しい。 しかしながら、経営者は同時に、チームのリーダーであり、コミュニケーションの潤滑油にもならないといけない。その為にはどうすればいいか?この事についてもよく考えてみないといけません。
新しいアイデアを生むための会話力
最後に、新しいアイデアを生むための会話力について。これは正しくは、常に新しいアイデアが生まれてくる環境を作るための会話力と言えるでしょう。
新しいアイデアが生まれてくるということは、常にチーム全員が、考えているという組織を作る必要があります。常に考えているというのは、どういう状態でしょうか?
それは、冒頭で申し上げたとおり、質問が飛び交う組織です。人は、質問を与えられることによって、考えることを始めます。経営に当たり前はありません。
当たり前を打破して、新しいアイデアを実践していける経営。理想ですね。でも実現は会話力をもとにすれば、かならず可能です。明日も、コミュニケーション力についてつづきます。