「目的」と「目標」の違いについて、この違いをしっかりと分かる人はいますでしょうか?私も最初は、あまりよく理解ができなかったのですが、これが結構、コンサルティングを行う際に重要なポイントとなってきますので、私の現場での経験を踏まえてお伝えしていきたいと思います。
まず、「目的」とは?
目指すべき的と書いて、「目的」。辞書では最終ゴールとの意味あいであると書いてありました。
経営をやっていく上で、理念が大事だよ、という話は、結構よく聞くのではないかと思います。しかしながら、
あなたの経営理念は何ですか?
と質問すると、ちょっと頭の中が???になりますよね。なんかちょっと理念と聞くとどうしてもおこがましい、大それた志をもたなければならない・・・的な感じで受け止めてしまい、なかなか理念を決めることができません。
そこで私は、いつもこう質問します。
この会社を経営している目的は何でしょうか?
経営している目的を聞くようにしています。もしこの目的がなければ経営する理由が無く、その会社は世の中に存在する必要がありません。もしくは、
あなたの会社が存在する理由はなんですか?
という質問と一緒かも知れませんね。私はこの質問を1000人以上の経営者にずっとしてきました。
なんとなく経営
多くの経営者は、なんと「なんとなく」と答えたのにとても衝撃を受けました。なんとなく経営でってきるの?ってびっくりしましたが、だいたいの理由が分かりました。
経営者も毎日、同じ日々の々の中で、最初の頃の熱い想いがだんだんと消えていくんですね。だいたい5年以上経営をしている経営者は、この「なんとなく」経営に陥りやすいのかもしれません。
もし、「なんとなく」と答えそうになった方は、ぜひ初心を思い出してください。創業時、または代を受け継ぐとき、必ずそこには熱い想いがあったと思います。
- 顧客のために
- 従業員のために
- 会社のために
- 地域のために
- 自分のために
自分が会社の経営を通じて何をしたかったのか?もう一度思い出してください。あなたが経営者として実現したいこと、存在する理由が「目的」です。
「そりゃもちろん、儲けるためだよ」と答えた人には・・・
経営の目的を尋ねるとたまに、
そりゃ儲けるために決まってる
と答える人がいます。この場合は、少し冷静に考えていただきたいのは、そもそも福沢諭吉の顔が印刷されている紙が好きってことは、あんまりないですね。たまにスリスリするのが好きと答える人もいますが・・・。
お金というのは、お金事態に価値があるのではなく、その対価で得ることができる便益に価値があるわけで、もしそう答える方がいましたら、ぜひ、
儲けてどうしたいの?
と、聞き返して見てください。求める者が物質なのか、安定や安心という心の動きなのか、それは人によって様々ですが、お金は目的にはならないということだけ、是非覚えておいてください。
「目標」とは、通貨地点のことである
「目的」に対して「目標」は、最終ゴールまでの通過地点のことを指します。目的までの標という意味で「目標」ですね。
この目標の大切さはマラソンに例えるとよく分かります。
今からどこでも結構ですので42.195キロ走ってきてください
そんな指令が皆さん入ったとします。走れる人いますか?これは、プロのマラソンランナーでも難しいそうです。
体力よりも、心が先に折れます。いま自分はどこを走っていて後どれくらい走ればいいのかわからない中で、人は走り続けることはできません。
途中の通過地点がたくさんあることで、走りながらランナーは、あとどれくらい走れば終わるのかを認識できます。
またフルマラソンを4時間で走るという目的を達成するために、例えば折り返し時点で、もう2時間半経過していた場合、後半はちょっとペースをあげないといけないということが分かります。
逆に1時間半で折り返し時点を通過した場合は、ちょっとペースを落とさないとあとでバテてしまうということが分かります。
通過地点を設定しておくことによって、検証、改善が行えるわけです。以上により、目標を設定する大切さは、以下の2点、
- モチベーションの維持のため
- 検証から改善を行うため
となります。でもこの目標をしっかりと伝えずに、ただただ「頑張れ」と従業員に伝えている経営者を多々見受けます。これは、自社の従業員に、闇雲に走って来い!と言っているようなものなので、お気をつけください。
目標は、数字を入れる
目標設定に関しては、必ず数字を入れるということをルールにしてください。数字を入れない目標は目標では無いということです。
例えば、ある社長に来期の目標を確認してみると、
来期は笑顔で元気に頑張ります
という目標を答えて貰ったとします。1年後、この経営者に、今期の目標は達成できましたか?と聞けば、
うーん、たぶんできたんじゃないかな・・・?
なんて曖昧な答えが返ってくるわけです、では来期は?と聞けば、
来期は、真剣な顔持ちで取り組みたいと思います
・・・。ということでこの不毛な時間が延々と続くと思ったら相当無益な時間ですよね。
「数字」というのは、誰の目から見ても明らかという特性があります。たくさん考え方、認識、価値観があるなかで、唯一絶対的に統一認識を持てているものは「数字」しかありません。
- 売上げを1億円にする
- 従業員を100名にする
- 1年に1店舗ずつ増やす
- リピート率を20%上げる
などなど、かならず目標には数字を入れてください。プラスできれば日付も入れてください。そうすることによって、達成できたからできなかったかを、完全に検証することができますね。
経営は、1億の売上目標に対して、8000万円が実績であったならば、なぜ2000万円足りなかったのか?また1億2000万円で達成したならば、なぜ2000万円も上ぶれしたのかを検証して、来期の経営に活かしていかなければなりません。
営業マン出身の経営者は、目標はノルマという刷り込みがあり、なかなか目標設定が怖いという場面があると思います。、
しかしながら、経営差にとっての目標はあくまで「経営予測」です。こんだけがんばったら、これくらいはいけるかな・・・という経営者の目算ですね。
達成したかどうかではなく、その後の検証材料としてぜひ、何にでも目標設定をする習慣をつけてください。
さいごに
私の師匠の言葉、
「目的は心であり想い、目標は、数字であり利益である、心だけでも経営は立ちゆかない、数字だけでは、いつか顧客に愛想を尽かされる、経営者は、この両方をうまくバランスをもって扱うことを求められる」
あー懐かしい響きであり、今となってはこれほど重たい言葉は無いなと認識できるようになりました。
目的と目標の違い、しっかりと認識した上で、経営者としての手腕を発揮してください。