財務と経理の違いについて




経営者の方の中には、数字が苦手な方も多く見受けます。

経営上の数字というのは、単なる計算が早いとか、
数字の公式を多く覚えているという事ではありません。

あなたは、経理と財務という言葉をご存知でしょうか?

この経理と財務について、触れさせて頂きたいと思います。

まずは、経理ですが、これは、その言葉の通り、

経理=経営の管理

経営の結果は、過去の数字に表れます。

過去の経営の結果である、数字をしっかりと管理し、
分析することが重要なのです。

経理とは、単に日々のお金の出入りを帳簿につけて、
税理士の先生にお渡しすることではありません。

経理とは、あなたの経営の通信簿と言えるのではないでしょうか?

少しでもよい通信簿の点数を貰えるように、
日々、経営者は努力するのです。

経営上で、この経理が疎かにすることを、いわゆる、

「どんぶり勘定」と呼んでいます。

「どんぶり勘定」は良く会社を潰すといわれますが、
これは、どういうことでしょうか?

良く考えて見てください。
過去の数字が、曖昧ということは、
経営の方針、手法を見直す基準が無いと言うことになります。

経営の成長サイクルで、良く言われる。

計画⇒実行⇒検証⇒改善

実行後の検証ができないということは、改善ができないということです。

お店で言うと、レジに入っているお金すら、正しいかどうか分からない常態。
これでは、1日の経営状態すら検証することができません。

そうやって1日、数百円の、数千円のズレが、
年間では、莫大な損失に繋がります。

そして、損失だけではなく、店舗の運営管理上の改善点を見つけられないまま、
もしくは、間違った通信簿を見て、間違った改善案を出してしまい、
自分の首を、自分で絞めることになってしまいます。

大企業には、経理部というものが存在して、
大企業であればあるほど、たった1円の違いも許されません。

それは、たった1円のズレが、崩壊の始まりであると、
しっかりと認識しているからです。

しかしながら、小さいお店の経営ほど、
この「どんぶり勘定」が多いのです。

次に「財務」についてお伝えさせていただきます。

「財務」とは、英語に訳すると「ファイナンス」。

ファイナンスとは、資産運用とも捉えられていますが、
店舗経営においては、資金だけでなく、
在庫や、人財を、どこに投資して、更なる利益に繋げるのか?
考え実践する事を、財務と考えています。

つまり、過去の数字である「経理」に対して、
「財務」は未来の数字を管理する事といえます。

小規模店舗の経営者にとって、最もおざなりになるのが、この「財務」
日々の運営に追われている小規模店舗の経営者は、
1年後、半年後、3ヶ月後、1ヶ月後すら考える機会を、
持っていないというのが、現状ではないでしょうか?

未来の数値をしっかりと計画することは、とても大事なことです。

これは、店舗で働くスタッフのモチベーションにも深く関わります。
そして、目指すべき目標を持って行動することと、漠然と行動することでは、
午前中に説明した、成長サイクルにも、関わってきます。

まず、店舗で働くスタッフのモチベーション。

このお店が、どこを目指し、いまは、どの地点にいるのか?
全く分からずにただただ、働き続けるということほど、
しんどいことはありません。

頂上の見えない山をひたすら登り続ける事を、
仲間に押し付ける経営者。

自分が今、やっている事が、
一体なんの目的があるのか?

伝えて動いてもらうこと。伝えずに動いてもらうこと。
どちらが成果があがるでしょうか?
どちらが、モチベーションを維持できるでしょうか?

一目瞭然ですね。

しかしながら、この財務を怠って、
目的・目標の共有をしていない経営者が、いかに多い事か。

まずは、経営者自身が、未来を夢みて、計画をたて、
スタッフと共有する事から初めてみませんか?

次に、成長サイクルへの影響について。

過去の数字である経理と同じ考え方です。

未来の目標に対して現実はどうであったか?
達成しているのか?していないのか?

達成したならば、その成功要因。
未達であれば、その失敗要因。

それぞれを、しっかりと分析して、経営の管理に生かしていく。

そうすることによって、自店オリジナルの成功法則が出来上がっていくのです。

未来数値の作り方、店舗経営の財務の基本

ここで「事業計画書」のつくりかたについて触れていきたいと思います。

あなたのお店の目的を達成するために、
あなたのお店は、いったいいくらの売り上げを上げて、
いったいいくらの利益を残す必要があるのでしょうか?

現状の売り上げを考慮することなく、
今のお店の規模であげることのできる、
目いっぱいの目標を設定してみてください。

人間はイメージできることしか、現実化しません。
イメージしても現実化することは、難しいのですが、
イメージできないことは、絶対実現しません。

もしあなたが今、赤字店舗を経営しているとして、
まずは、損益分岐点を突破して、黒字店舗に変えたい!
と思っているとしたら、それは、よくがんばって、
損益分岐点どまりになってしまうのです。

あくまで、繁盛店になる!ここを目標にしてください。

目標の売上げ、利益が明確になったら、次は、現状の店舗の状況を
よく見てみてください。過去の数字、経理に部分ですね。

現状の売上推移、経費、そして利益。
年間を通した合計、つまり年商を算出してみてください。
あなたの思い描くゴールの数値と、
現状の数値とどれくらいのギャップがあるか?そこをしっかりと把握してください。

まず、ここで重要になってくるのは、その売上げのギャップを、
客数に置き換えることです。

繁盛店の方程式は、つまりこうです!

前月の固定客数<当月の固定客数

固定客とは、現在の既存客に2回目来店してくれた客数をプラスし、
来なくなってしまった客(ロスト客)数を引いた現在の生きた客数リストです。

つまり、固定客(生きた客数リスト)が、毎月増えているかどうかということが、
繁盛店になるために重要なポイントになります。

“あたりまえ”なんです。

が、しかしながら、この公式を具体的に頭に思い浮かべて、
事業計画を練っている経営者はほとんどいません。

「分解は創造」

これは、私が良く口にする言葉ですが、ひとつの事柄を分解して、
原因を追究することが、新しいモノを生み出す、
新しい成果を生み出す最善の方法だと考えています。

あなたのお店が、目標を達成するためには、新規客が必要なのか?固定客が必要なのか?
それとも、ロスト客の率を減らす事が重要なのか?
ロスト客にもう一度、来店してもらうことが重要なのか?
あなた自身が明確に認識してください。

あなたのお店の現状の客数は、月、何人いらっしゃいますか?
年間を通して何人の顧客が、あなたのお店に来客しますか?
そのお客様は、固定客ですか?新規客ですか?
新規のお客様がそのあと、もう一度来店してくれる率はどれくらいでしょうか?
次に調査しなければならない事は、客単価です。

一人のお客様が一回来店して、
いくらくらいのお買物をしていくか、それが客単価です。
年間を通しての売上を客数で割ると、客単価がでてきます。

現状の客単価が分かれば、目標売上を、その客単価で割ってみてください。
これで、目標に対する客数の目標が算出されますね。
これで目標客数に対して、どれくらいの新規来店客と
リピート率を目指せばいいか明確になりますね。

ちょっとややこしくなりましたが、まとめてみると

目標の売上げ
目標の利益
目標の客数(固定客、新規客)
(最小に抑える)
目標の客単価

それに対し、

現状の売上げ
現状の利益
現状の客数(固定客、新規客)
現状のロスト客数
現状の客単価

を、マイナスしたものが、ギャップになるわけです。

次に年間の事業計画をたてていくわけですが、
ここで、大事なことが、3つあります。

  1. 逆算
  2. 季節指数
  3. 管理

上記3つが、事業計画においてもっとも大事なポイントになります。

まずは、1の逆算について。

年間計画を立てるときは、まず1年後の目標から、
逆算して、目標を設定していく必要があります。

これは、現状から計算してしまうと、どうしても目標まで届かないということで、
期間を延長してしまいがちです。

目標から逆算する事によって、
その期間内でどうすれば達成できるかを明確にすることができます。

2は、季節指数というのを考慮しないといけないということです。
どのような業種業態でも、月によって売上が変動しますね。

飲食店であれば、歓送迎会の多い3月、4月、
忘年会シーズンの年末は売上が平均よりも高くなります。

逆に、2月や11月は少し売上が下がる傾向にあります。
このような季節による変動幅を、季節指数と呼んでいます。

季節指数の割り出し方

過去の年商/12ヶ月=月別平均
月別平均/毎月の実数値=その月の季節指数。

目標に対しても、まずは、逆算で月別目標を算出したら、
その目標に対して、月ごとにあなたのお店の季節指数をかけてください。

3は管理です。日々の経費管理=経理です。

日々の結果を、目標と照らしあわしてください。
そして、うまくいっていればよし、
いかなければ、何か必要な手を打つ必要があります。

人件費を減らす必要があるのか、客数を増やす必要があるのか、
はたまた、家賃の値下げを交渉する必要があるのか?

できる限り早く、目標達成のための軌道修正を行う。
これが、店舗経営の鉄則です。

そして、多くの小規模店舗経営にありがちなのが、
なんでも雑費にしてしまう行為です。

雑費という経理項目は、とても都合がいい項目です。
しかしながら、雑費が多くなると、やはり検証ができなくなります。
雑費をなくすという行為は、検証を行う上でも非常に大事ですし、
また、経費を細かく管理することによって、
使途不明金をなくすことができます。

家計でもそうなのですが、使途不明金をなくすと
無駄使いが自然に少なくなるものです。

このようにして立てた計画を、是非、スタッフの皆さんと共有して、
日々管理を怠らず、未来について前向きに考えていれば、
かならず、お店は繁盛店になります。

未来を考える時間を、しっかりと経営者はとらなければなりません。
是非、事業計画の立案。財務への挑戦を今すぐ始めてください。

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