オムライス

ふと弊社の事業計画を立てているときに、この話を思い出しました。私もこの考えを徹底しようと思います。「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という言葉をご存知ですか?マーケティングを少しは勉強したことのある人であれば、これまた基本中の基本ですが、 店舗経営者にとっても、非常に大事な考え方ですので、覚えておいてください。

ニーズを拾え!の落とし穴

まず簡単に言うと、「マーケットイン」とは、市場のニーズつまり、お客様が必要とされている商品・サービスが何かを、調査し、その求められている商品・サービスを提供するという考え方です。

逆に「プロダクトアウト」とは、市場ニーズに対してではなく、プロダクトつまり、製造者の都合、思い・意志で商品サービスを提供し、その商品を必要とする顧客にのみ販売していくというやり方です。

私のセミナーの代表的なたとえ話です

あなたが、とある住宅街の片隅に、お店を開店するとします。あなたは、オムライスを作るのが得意ですが、地域の方に聞いてみると、9割の人が、オムライスではなく、美味しいラーメンを食べたいという声が返ってきました。

「なんと、ここの地域の人たちは、オムライスよりも、ラーメンが食べたいのか?!」

果たしてあなたは、この声を聞いて、どう考え、どう行動するでしょうか?

マーケットインの場合

「よし、オムライスを作るよりも、ラーメンを作る方が儲かりそうだ!」

あなたは、オムライス屋さんを経営するのをあきらめて、ラーメン屋さんを開店しました。

プロダクトアウトの場合

「ここの地域住民は、本当に美味しいオムライスを食べたことがないんだな。よし!皆に俺のオムライスの美味しさを思い知らせてやる!」

あなたは、オムライスのニーズは、少ないにもかかわらず、自分の得意とするオムライス屋さんを開店しました。

さて、どちらが正解で、どちらが間違いであったと言えるでしょうか? 結論はハッキリしています。

自社の規模によって取る戦略は変わる

大規模店舗展開をしており、資本を潤沢に使える経営者にとっては、第一案のマーケットインを選択。つまりラーメンのお店を作るべきです。

何故かというと、市場の9割のシェアを取る事ができる、それだけの来客を迎えることのできるお店の大きさスタッフの数、すべての市場顧客に告知することができる広告予算、更に地域競合店に対しても負けない、潤沢な販促予算を持っているからです。

こういった場合は、プロダクトアウトよりも、マーケットインの方が、市場シェアを牛耳ることができますので、正解と言えます。同じ商売をしている、他の小さな店舗を潰してしまうことすら、簡単にできるのです。

小さなお店は、自分の「エゴ」を押し付けろ!

では、資金を潤沢に使うことができない、小さなお店の経営者はどうすればいいのか?そうですね、プロダクトアウトです。

あなたのオムライスの美味しさを地域住民に知らしめることが解決に糸口です。というか、マーケットインの戦略は、予算が無い場合は使えません。

その理由は三つあります。

①集客にお金がかかる

まず一つ目、小さなお店が、市場の9割を囲い込むということは不可能です。何故ならば、市場ニーズつまり需要のあるところには、必ず、供給元が集まります。 供給元があつまると、結局その中から、資本力のある店舗に顧客が集中します。

圧倒的な販売促進、広告などの、圧倒的な告知力により、あなたのお店はどんどん追い込まれてしまいます。

よっぽどの差別化のできる特色を別に持っていない限り、すべての顧客を囲い込むことは不可能です。

②商品開発にお金がかかる

次に二つ目、それは、市場調査をして、顧客のニーズを知り、そのニーズに合わせて商品・サービスを開発するという行為は、考えてもいないような、大きな予算が必要です。

ラーメンを作るのが得意だったのに、新たに美味しいオムライスを作るためにかかる時間とお金を掛けて、努力したとしても、必ずしも、お客様のニーズにあったオムライスを開発できるとは限りません。

③ニーズ調査にもお金がかかる

そして最期に、三つ目は、これはそもそも論ですが、小さいお店が、ちょっとやそっと、顧客のニーズを探ったからと言って、本当の顧客ニーズが把握できるわけがありません。

現在、このマーケティング調査には、莫大な予算がかかります。 数を集めるアンケート調査から、ターゲットとなるお客様の層を呼んできて、その商品サービスについての討論会。モニター調査、調査員が顧客の振りをして、そのお店の調査をするミステリーショッパー(覆面調査)施策等々、市場のニーズを知るための調査を、多岐にわたります。

大企業が、お金を使って、それらの市場調査を行い、本当のニーズが何かを徹底的に調べて対応してきています。

そんなマーケティング戦場の中で、あなたは、マーケットインという考え方でそのような大企業に勝つことができると、本当に思いますか?

「お客様のニーズに応えろ!」

というのが、繁盛店になるためのスローガンみたいな時期がありましたが、冷静に見てみると、お客様のニーズに応えてうまくいっている店舗は、コンビニや、大企業のチェーン店のみではないでしょうか?

10人に1人はあなたを好きになってくれる人がいる

小さいお店で、儲かっている店舗は、必ず「プロダクトアウト」の方を採用しています。たとえ、市場の9割が見向きをしてくれなかったとしても、残りの1割、少数派に支持されるお店、しかも、その1割からは、熱狂的に支持、信者になってくれているお店。

それが、小さなお店の繁盛店モデルです。

お店の収益力がだんだんと落ちていく、そんな中、経営者が考える事は大抵、

「お客様にもっと支持されるように、お客様に合わせないといけない。お客様が何を考え、何を求めているか、もっと知らないといけない」

こう考えてしまい、そして、ドツボにハマっていくのです。儲かっていない時こそ、徹底的にプロダクトインです。つまりは、徹底的に「自己中心的経営」を心に銘じてください。

自分の思いを最後まで大切に

小さなお店は、経営者自身が信じること、自分のエゴを顧客に押し付けろ!です。 お客様がどう考えているか、何を求めているかばかりに気を取られて、あなたの得意な分野、お店の特徴、利点、そして何よりもあなた自身が、心からお客様に提供したいと考えている商品・サービスに対する想いがどんどん、薄れてしまいます。

儲からないお店は、新たな事を考えるよりも、もう一度自店の商品・サービスをブラッシュアップし、そして、自分の商品や顧客に対する、想いを大切にして

「自分の想いが伝わらないお客様は来なくてもいい!」

というそんな覚悟で、自店の改善に、挑んでください。


2014/11/03

Knowledge style for Food Business