水産物で有名な富山、氷見港を有するこの地でこの商品が大人気です。 それは、山岸ちまき本舗さんで製造販売されている「幻のいちご大福」です。1月~4月上旬までの限定販売となり、シーズンに約5万個(2014年度は、なんと、52748個)も売れるこの大福は、なんと本店でしか購入できない一品です。

いちご大福にまつわる経営のストーリーとこだわり

普段そんなに、甘いものが好きなわけではないのですが、このいちご大福は、度肝を抜かれました。うますぎる。そしてこの季節になると、この大福の味を思い出します。

一番美味しい季節の福岡産地の「あまおう」といういちごの品種を取り寄せ、絶妙な「餡子」とのバランスで、私は、間違いなく断言しますが、こんなに美味しいいちご大福は食べたことがありませんでした。

もともとは、ご奉仕品として、現在の2代目店主、山岸正氏が、今より、約20年前、お客様への日頃の感謝を込めて、奉仕品として120円で製造販売をスタートしました。

始めた当初は、一日12個限定だったこのいちご大福も、あまりの美味しさにお客様からお客様へ口コミで広がり、いまや、一日500個を生産販売しています。それでも、毎日売り切れが続きます。

私がお店にお邪魔したときも、ひっきりなしに、いちご大福を買い求められるお客様が途絶えることはありませんでした。

とくに、あまおう一個だけでも、120円を超えるのではないかと思うのですが、そこには、顧客への感謝の気持ちが、込められています。

先代の企業ストーリー

山岸ちまき本舗は、先代の初代秀行氏が創業したお店で、それまでは、なんと氷見で漁師を生業としていたそうです。

秀行氏は、一度港を出ると、1ヶ月以上は浜に帰って来られない暮らしをしていました。しかしながら、家族ができ、子供が生まれ、そのような仕事をずっと続けるのは、家族に申し訳ないと考えるようになり、いまから35年前に、漁師を廃業しました。

そして何を思ったか、自宅のガレージにもちをつく機械、ボイラー、せいろを用意し、ちまき販売をスタートします。まさに和菓子界のベンチャー起業と言えます。

とにかく、周りからは無謀と言われ、反対されましたが、秀行氏は、家族と一緒に暮らせて、一緒に仕事のできる職業は、家内製造だと決めていたのでしょう。

初めての作業ではありましたが、夫婦で協力しながら、少しずつ売り上げを伸ばしていきます。

そこで生まれた、自分の子供のように、他人様の子供にも、安全で美味しいものを提供したいという想いは、二代目の正さんに引き継がれていきました。

ガレージからはじまった和菓子屋さん?!

両親の苦労をずっと見てきた正氏は、自身も学業を終え、家業を次ぐために、他社の和菓子屋に奉公を始め、非常に厳しい環境の中で、プロの技術を習得してきます。

両親が0からスタートした山岸ちまき本舗を、和菓子店として完成させたのは、2代目の正氏です。両親の思いと、息子の技術。その二つの力が重なって、ガレージから始まったお店も、今では、販売スペースと工場の二つを持った大きな製造直売所を保有するまでになりました。

地域の皆様に支えられて、ここまで来ることができたと考えている正氏は、今までの感謝の意を込めて、安全安心な材料しか使わないお菓子を子供も買える価格で提供したいと考え、いまのいちご大福を考案しました。

値上げとの戦い

和菓子の原材料はとくに果物などは、値段が毎年上がって行きます。ひとつずつ手作りなので、作業も本当に大変で、一度は、いちご大福の販売を諦めようと思い、値上げしたら売れなくなるだろうと考えたこともあったそうです。

しかしながら、顧客から値段を上げてでも製造を続けて欲しいという要望があまりにも多く、毎年、10円ずつ値上げしてでも、販売料は増加していったそうです。

もちろん、味は、毎年、少しずつ改良し、去年よりもより美味しくを徹底して実践しています。  

現在では、300円となった販売価格も正氏は、これが限界かなと教えてくれました。何が限界かというと、子供がお小遣いや親におやつでねだれる金額は、300円が限界だろうと考えているからです。

300円になってもほとんど利益は無いのですが、喜んで食べてくれる子供や、お母さん、お父さんの表情を思い浮かべると毎年、やめるわけにはいかないねと、奮起するそうです。

拡大よりも、質の充実

売上よりも、信念を大事にする 山岸ちまき本舗は、拡大していくにあたり、催事やスーパーなどへの卸も始めます。

配達や、製造量が増える大変さはありましたが、売上はうなぎのぼりです。正氏は、氷見へ帰ってきて、2代目として見事にお店を受け継ぎ、拡大に成功します。

しかしながら、ある日、お客様からこんな声をかけられます。

「山岸さんの商品はどこでも売ってるから、わざわざお店に買いにくることも、特産店で買うこともないよね。」

この言葉を聞いて正氏はハッとさせられたそうです。自ら山岸ちまき本舗の商品価値を下げてしまっていることに気付いたのです。

この言葉を聞いて以来、一切のスーパーからの流通は撤退することにしました。やはり、 「拡大よりも、質の充実をとる」 そのことが、両親の代から変わらず、山岸ちまき本舗のこだわりであると、初心に帰ることができたのだそうです。

和菓子屋を通じての社会貢献

今では、さらに生まれ育った氷見の子供たちにお菓子を通じて、様々な事を伝えていくことができる和菓子屋を目指す!という目標を持っています。

地域の様々なイベントに参加し、子供達と触れ合う機会を増やしながら、色の安全をしっかりと伝える役目を、これからの山岸ちまき本舗は、担っていきたいというビジョンがあります。

  • 経営者としての社会貢献
  • 和菓子職人としてのこだわり
  • 親としての子供達に対する責任

この3つを信念に決めて、山岸ちまき本舗は、これからも邁進していくことでしょう。

さいごに

氷見に訪れた際は、新鮮な魚だけでなく、正氏の想いのつまった「幻のいちご大福」を是非一度お求めください。

お店では、正氏の奥様の薫さんが店長として笑顔で迎えてくれます。世代を超えて、家内事業を成功させた、素敵な経営者のモデルであるとも言えるでしょう。

→ 山岸ちまき本舗 ホームページ

 


2015/01/08

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